発売から20周年を迎えた「消臭力」から新たに生まれた「消臭力DEOX トイレ用」。その誕生秘話に迫る！～マーケティング担当者と開発担当者へインタビュー～

消臭力

2020年7月1日 13時40分エステー株式会社

「空気をかえよう」をスローガンとする、エステー株式会社の代表ブランドのひとつ「消臭力」。2000年に、「強力・長持ち」な消臭芳香剤として誕生し、「玄関・リビング用」、「トイレ用」、「トイレ用スプレー」など主力のアイテムの他、さまざまな用途や機能を提案してきました。

幅広い商品ラインナップや、コマーシャルを通じたコミュニケーションなどを通し、さまざまな世代から支持を得て、トイレ用消臭芳香剤では国内シェアナンバー1となりました。

そんな消臭力は今年で20周年を迎え、この度、新たな第一歩として「消臭力 DEOX（デオックス）トイレ用」を発売します。

【エステー】「消臭力 DEOX トイレ用」と「消臭力 DEOX トイレ用スプレー」を新発売

PR TIMES

今回、2020年8月から発売を開始する「消臭力 DEOX トイレ用」とはいったいどんな商品なのか。どんな想いで作られたのか。

そんな誕生秘話に迫るべく、同商品の生みの親であるマーケティングの担当者の酉水と開発担当者の松澤に話を聞きました。

・エステー㈱　事業統括部門エアケア事業部／酉水　佳彦（スガイ　ヨシヒコ）

学生時代は経済学や会計学を学び、2010年にエステーに入社。

入社後4年間は横浜営業所で営業をし、2014年から本社にてマーケティング業務に携わっている。現在はエアケア事業部にて「消臭力」ブランドを担当している。商品に対してはお客様目線で考えることを第一に、自身の仕事では楽しく取り組むことを心掛けている。

・エステー㈱　R＆D部門商品開発第2グループ／松澤雅人（マツザワ　マサト）

学生時代は材料工学などを学び、2014年に入社。

入社後4年間は同部門の研究グループで、製品の処方組みや基礎研究を行う。現在は商品開発グループにて「消臭力」ブランドをはじめとした商品の開発を担当している。人々の今日の暮らしが昨日よりもちょっとよくなるようなものを届けたい、という想いで商品開発を行っている。

これまで2人は、数年前に「消臭力クリアビーズ　イオン消臭プラス」のリニューアルを一緒に行うことなどはあったものの、一から新製品を一緒に作り上げていくことは今回がはじめてだったとのことです。

学生時代には香りに対しては無頓着な方で、「まさか自分がこんなに消臭芳香剤の開発に関わるなんて思っていなかった」と話す2人が生み出した新たな「消臭力」とはいったいどのようなものなのでしょうか。

↑「消臭力DEOX(デオックス) トイレ用」

●生活者の困りごとを解決する新しい消臭技術への挑戦

―この商品はこれまでの「消臭力」とは何が違うのですか。

酉水：名前が新しいのはもちろんなのですが、「消臭力　DEOX トイレ用」では従来の香りによる消臭に加え、「レセプターブロック消臭」という技術を採用しています。

実は、家庭のトイレ環境はトイレの設備や消臭芳香剤の進化によって、昔のような臭いイメージはなくなりつつあります。しかし、「排泄直後の便臭のニオイ」は依然として家庭内の困りごととして上位にあがっていることが課題でした。そこで、「消臭力DEOX トイレ用」はこれまでの「消臭力」とは違う「レセプターブロック消臭」の技術を採用したことにより、この課題を解決する新しいトイレ用の消臭芳香剤となりました。

松澤：「レセプター」はあまり聞きなれないワードだと思います。そもそも、レセプターとは、鼻の奥の嗅上皮にある約400種のニオイを感じとる臭いセンサーで、「レセプターブロック消臭」は、このレセプターのうち、便臭を感じるレセプターに対し、便臭と似た香り成分の分子が鼻に先回りしてレセプターにはまることで、実際の便臭の原因分子をブロックする技術になります。

―つまり、鼻のセンサーのうち、便臭を感じる部分に先に良い香りを届けてしまおう！という感じでしょうか。

酉水：そうですね（笑）。従来の消臭効果はそのままに、同時に便臭をブロックし、排泄直後のニオイを感じにくくできるのが、これまでと違った新しいところですね。

松澤：「DEOX」という商品名は「消臭」を意味するDEODORANT(デオドラント)と「特別な」を意味するEXTRA(エキストラ)をかけ合わせていますが、商品名のとおり特別なトイレ用消臭芳香剤になったと自信を持っています。

●「早く商品をお届けしたい」という気持ちで急ピッチで進めた商品開発

―おふたりで商品開発を進めていく中で、それぞれマーケティングと開発の立場で苦労した点はありますか。

松澤：私は、開発当初から「便臭に特化した特別な商品を作りたい！」という気持ちで取り組んできました。その根底あるのは、私の入社理由であり、今も目標としている「人々の暮らしが、昨日よりもちょっとよくなるようなものを作る」という想いですね。

この想いをカタチにするのには、本当に色々な苦労がありました。コンセプトが決まってから完成するまでは怒涛の日々でしたね。私と酉水さん含め、中心となって進めたメンバーは7人ぐらいですが、みんなそれぞれ初めてのことも多くて。色々とやるべきことを挙げていくと、「あれ？間に合うこれ？」となりました（笑）

でも、早くお客様にお届けしたいという気持ちで、急ピッチで開発を進めました。

まず苦労したと言えば、デザインですね。デザインのコンセプトが「スマート感」だったので、最初は右のようなスマートスピーカーみたいな形を考えていましたね。

でも、「実際に使う人はトイレにどんなものを置きたいんだろう？」という話合いを酉水さんやデザイナーさんとして、やっぱりもっとコンパクトな形にしようと進めていきました。

酉水：そうやって開発側がモノを形にしてくれている間に、私は「じゃあこの商品をお客様に向けてどのようなメッセージで伝えていこうか」と頭を悩ませていました。

レセプターブロック消臭がスゴイということは事実だったとしても、それってどうやったら伝わるんだろうと。店頭に商品を並べる営業部門の社員にもすごさが伝わるように、説明用のイラストや動画を作ろうとか、どんどんやりたいことが増えていきましたね。実際のお客様が効果を実感できるか確認するための調査も行ったのですが、そのために200個のサンプルが必要になったので、松澤さんにはその時は無理を言って作ってもらいました。

松澤：大変でしたね（笑）。サンプルが200個必要と言われ、通常は工場で作ってもらうのですが、今回はそれだと間に合わなかったので、一部の工程は自分で手作りしました。

酉水：「松澤さんならきっと間に合わせてくれる、大丈夫と」思って、安心して託していました。作業が終わりかけている時を見計らって、「一緒にやるよ」と声かけたりしてました（笑）。

松澤：まるで僕、困った時のドラえもんみたいな扱いじゃないですか（笑）。今思うとその時期が一番大変でしたけど、その調査では、96％の方に効果を実感していただけたことが分かったので、苦労も報われました。

酉水：松澤さんが「もう嫌だ～！」とタイムマシンに乗って帰っちゃわなくてよかったです（笑）。

●見えない部分にこそ込められたこだわり

―じゃあドラえもん風に言うと、この商品は困った人の「夢を叶える道具」といったところかもしれませんね。でもデザインは意外とシンプルですね。

酉水：もともと「スマート感」というコンセプトがあったので、トイレ空間になじむようなシンプルでスタイリッシュなデザインになっています。でも、「消臭力」の持つ「ちょっとした温かみ」みたいな部分は、この角の丸みで表現しています。

↑たくさんのデザイン案の中から選ばれた現デザイン

酉水：「こんなシンプルで本当に効果があるの？」なんて思われてしまうかもしれないですが、もちろん効果も保証します。その秘密は本体の裏側にあるんですね。

松澤：裏側の設計にはデザイナーも私も本当に苦労しました。このコンパクトな形に対して、どんな仕様にしたらどれぐらい香りが広がるか、とか何度もトライして変更して。どうやったらより風が通るか、香りが香るか、とか考えるんですよね。

酉水：どうしても表面だけ注目しがちですけどやっぱり裏側ってすごく大事で。裏の仕様でどう機能を担保するかって大切なことだと思います。

松澤：デザインと機能のバランスってすごく難しいんですよね。

酉水：よく見ると、本体を少し傾けているんです。やっぱりトイレ空間で、消臭芳香剤ってど真ん中には置かないですよね。だから壁にくっつけたとしても、ぺったりくっつかず、ちゃんと風が通ったり香りが香るようになっています。「お客さんがどうやって使うか」を意識しつつ、何度も開発と話し合って設計していきました。

松澤：こうして、すごくシンプルなデザインでありつつも、しっかり効果を発揮するような仕様にすることができました。そして表にはこの丸ひとつだけを残しました。

酉水：この丸は、残液がどのぐらいかがひと目で分かる、インジケーターの役割をしています。今回この「消臭力DEOXトイレ用」は「つけかえ」もあるので、残りが少なくなってきたら、つけかえを準備するサインってところですね（笑）。

↑「消臭力 DEOX トイレ用」では「つけかえ」も販売します

松澤：このインジケーターのデザインだけでもかなり候補がありましたよね。

酉水：そうですね。やっぱり、メーカー目線では、大きくて分かりやすいインジケーターがいいっていう意識があるけど、使う人からしたら、小さい方がシンプルでトイレ空間になじむのかなって。それが重要なんじゃないかって。それでこの小ささになりました。メーカー目線と使う人の気持ち、いつもそこは悩みどころですね。

●見せる部分にも込められたこだわり

松澤：そういえば、パッケージのデザイン案も最初はかなり種類がありましたよね。

酉水：30種類ぐらいありましたね。この商品、特長がたくさんあって、色々伝えたいことがありすぎたんですけど、「この商品はこんなことを叶えてくれます」とお客様に一番伝わるようなデザインを選びました。やっぱり機能を伝えるのも大事ですが、「この商品って何を叶えてくれるものなんだろう」というのがお客さんの知りたいことだと思うので、自分ゴトに置き換えられるように、いわゆる「ニオイに関する気まずいシーン」の絵を入れました。「こんなあなたの気まずいトイレシーン、ありますよね？」みたいなことを伝えたかったんです。このピクトグラムのデザインはチームメンバー満場一致で、一番いい！！！！！ってなりましたね。

松澤：ニオイの困りごとは誰にでもあるので、みんなが自分ゴトに置き換えられるように、という視点を大切にしていましたね。

―そういえば「消臭力」のロゴとか、社名もすごく小さいですね。

酉水：そこは悩みましたね。「消臭力」を大きく立たせることは強みになるかもしれないですが、まずは「何を叶えてくれる商品なのか」ということを真っ先に伝えて、その後で「あ、消臭力だったら信頼できるよね」とちょっとでも思ってもらえたらいいなって思いました。見た人の気持ちの動き方として、そうなったらいいなと思いました。

エステーの「消臭力」というブランドだからこそ、最終的にブランドの力はついてくればいいかなと。

松澤：確かに社内でも「どうしてブランドのロゴよりもDEOXのロゴの方が大きいの？」と驚かれることもありましたね。

酉水：そう思いますよね。でもやっぱり買っていただく人の視点を大事にしよう、という気持ちを伝えて、理解していただきましたね。

●発売前の今の心境

松澤：振り返ると色々ありましたけど、こうして発売を迎えると、やっと店頭に並ぶのか、と感慨深い気持ちになりますね。

酉水：私は店頭に商品が並んでいるのを見た時が一番嬉しいので、すごく楽しみです。

松澤：自分が企画から携わった商品が店頭に並ぶなんて、嬉しくて笑っちゃいますよね。色々思い出して、涙が出るかもしれないです。

酉水：それでいて、ふと誰かのお家にお邪魔した時に、この商品が置いてあったりしたら、本当に嬉しいですよね。「これいい香りしますね～」なんて言っちゃうかもしれないです（笑）。

発売前に、社員の皆さんに使ってもらって、「これすごい！」「効果実感する！」とお声をたくさんいただいたのもあって、自信をもってお届けできる商品なのではとワクワクしています。社内の営業の社員が、お取引先に生き生きと商品を紹介しているのを目の当たりにしたりもして、気持ちとしては今不安ももちろんありますが、楽しみの方が大きいです。

松澤：開発担当としても、社内の声は大きな励みになりますね。モチベーションにもなりますし、早くお客様に届いてほしいという気持ちになります。「DEOX」という響きも割とキャッチ―なので、覚えてもらえたら嬉しいですね。

酉水：ただひとつ寂しいのは、これだけ松澤さんはじめチームのメンバーと一緒にやってきたのが、これで一度解散なことですかね。

松澤：一時期は恋人のように、いやむしろそれ以上の頻度で連絡を取り合ってましたね。本当にチーム一丸となって、できることは全部やったな、という気持ちがあります。

酉水：だからお世話になった人のためにも、しっかりたくさんのお客様に商品を届けることで恩返しをしていきたいですね。

そしてこれからも、自分自身が楽しく仕事をしていく中で、周りの人たちといい連携をとりながら、世にない商品をつくっていけたらなと思います。

松澤：私も社内や社外で色々な人と関わることで成り立つ仕事なので、これからも皆さんと気持ちよく楽しく仕事していけたらいいなと思います。そしてやっぱり日用品の開発者として、「消臭力　DEOX トイレ用」はもちろんそうですが、何か暮らしをちょっと快適にできるような商品づくりをしていけたらいいなと思います。今回この商品に携われたことは、すごくいい経験になったと思いますし、今後の励みにしていきたいと思っています。

ぜひ皆様に「消臭力DEOX トイレ用」を使っていただけたら嬉しいです。