緊急事態宣言が発令された4月。ほとんどの企業が大打撃を受けた中、サービス開始以来オンラインで売上を伸ばしてきたマッスルデリは、コロナ禍で世間の健康意識が高まったことも追い風となり、2020年6月に月間5万食を突破した。

「コロナで飲食店が大打撃を受けています。飲食店の数が減るということは食の選択肢を狭めることになります。同じ食を扱う企業として、少しでも役に立てることがあればと、8月に新宿と渋谷の2店舗と提携をしました。」と語るのはマッスルデリ代表の西川真梨子。

マッスルデリがこれまでオンライン販売で培ったブランディングやマーケティングノウハウを提供すると同時に、冷凍で最短でも3日後のお届けだったマッスルデリの健康的な食事が提携店舗ではデリバリーやテイクアウトでお届けできるようになるという。

「今回提携する飲食店様は、①コロナで売上が大きく下がっていることと、②今後継続的に協力関係を築いていけそうなところ　を募集していました。新宿にあるBACCA GRILL&FARMERSさんは立地が西新宿ということもありオフィスワーカーが激減していたことと、新しい取り組みに前向きでチャレンジ精神のある若いオーナーさんだったことが①と②の条件に当てはまるので提携の決め手になりました。」と語る。

 ■実際提携した新宿のBACCA GRILL&FARMERSのオーナー：大武さんにも話を伺った。

Q1:これまで大武さんが行ってきた事業について教えてください。

A:「新宿に2店舗ビストロを、野方にバーを1店舗の合計3店舗を経営しています。私自身はフランチャイズやメニュー開発、飲食店のコンサルなどの業務も行っていました。」

Q2: 今回コロナの影響はどのくらいありましたか？

A:「野方のバーは地元の常連さんが来るようなところなのでそこまで影響ないですが、新宿のBACCA GRILL&FARMERSは緊急事態宣言が出た4月は前年度マイナス90％まで落ち込みました。新宿西口という場所柄、オフィス勤務のお客様が多かったのですが、昼夜問わず街からそういった方々が消えました。

一時期昨対比20％くらいまで戻りましたが、7月以降また昨対比10～15％で推移しています。」

Q3:コロナ禍で苦労したことは何ですか？

A:「家賃比率が高いところなので、とにかく固定費をいかに抑えるか？ということですね。そのために持続化給付金の申請や助成金の申請など、他の経営者さんがやっているようなことはやりました。ケータリングとか団体や企業さんにお弁当発送したりもしています。それで全てカバーできるわけではないですが、1円でも多く収益を上げて固定費をまかなわないといけないので、できることは何でもやりました。従業員のモチベーションも下がりすぎないように気を付けています。」

Q4：なぜマッスルデリと提携しようと思ったのですか？

A:「今回時間があったので、色々なコンサルの方や起業家の方のオンラインセミナーを受けました。その中である業者さんが飲食店向けに開催したセミナーでマッスルデリの提携の話を紹介してくれたんです。そこでとにかくできることはなんでもやるしかない！という感じで申し込みました。」

Q5:提携して1か月以上経ちましたが、反響はいかがですか？

A:「マッスルデリのお弁当の反響はかなり大きいです。多い日は1日40食くらい。ここまで短期間で反響が出るのは珍しいと思います。元々ウーバーイーツが東京でサービスを開始した当初からお店も登録はしていたのでアカウントは持っていたのですが、店舗売上だけで利益が出ていたので一旦ウーバーイーツのアカウントは休止していました。ただ今回マッスルデリさんとの提携で想像以上に反響があったので、自社のアカウントも再開しました。」

Q6:飲食店がコロナ禍で生き残るためには何が必要だと思いますか？

A:「正直分かりません(笑)。ただ、キャッシュポイントをいかに増やすか？は大事かなと思います。コロナ前の売上に戻ることはもうないと思うので、例えば70％まで店舗売上を戻せたとしても、残りは今回のマッスルデリさんとの提携のようなデリバリー強化もそうですが、ゴーストレストランをいくつか出店して、収益が見込めるところは他のプラットフォームにも出店したり、ECを始めたりする、などで補填するしかないと思っています。」

Q7:今後の目標を教えてください。

A:「これまで店舗ビジネスは一等地に出すことが定説でしたが、マッスルデリさんのお弁当デリバリーが盛況なように、デリバリーでも利益が見込めれば高い家賃払って今の場所に店舗を構える必要がなくなりますよね。元々ウーバーイーツのアカウントがあっても店舗売上で利益が出ていたのでデリバリーを一旦休止していたところを、コロナ禍で今回のマッスルデリさんとの提携でデリバリー強化しようと思ったので、今後も新しい取り組みはどんどんチャレンジしていきたいです。まさにコロナで生まれた新しいビジネスの形ですよね」と語った。

BACCA GRILL&FARMERSでウーバーイーツで頼めるマッスルデリのお弁当は現在4種類。主食をサラダに変更したり、メインの量を変えてタンパク質量を調整することも可能。中でも「鶏肉のステーキセット」が良く出ているという。（※ご注文は「マッスルデリ　ウーバーイーツ」で検索）

「マッスルデリの栄養管理された食事が1食から、温かい状態ですぐにお届けできるので、在宅勤務を続けている方や子育て中のママさんなど、多くの方の健康的なからだづくりに役立てて欲しい。今回の提携が好調であれば、提携の店舗数もどんどん増やしていきたい。」とマッスルデリ代表の西川は語る。

■プロフィール紹介

《マッスルデリ代表：西川真梨子》

京都府生まれ。関西学院大学卒業後、繊維メーカーで企画営業～生産管理、原料調達まで幅広い商流に関わりながら、大手量販店や化粧品会社向けに女性の悩みを解決する衣料、雑貨などの新商品開発を行う。27歳で趣味であったサバイバルゲームを近場で手軽にできるエンターテイメントにするため、サバイバルフィールドを運営する株式会社ASOBIBAを創業し、副代表として店舗開発や運営を行う。その後、コンサルティング会社で大手企業の新規事業立ち上げを支援。自分がジムに通い始めたときに困った経験から、ボディメイクをしている人でも楽しく食事ができる環境づくりを目指し、30歳で株式会社Muscle Deliを創業。

マッスルデリHP: https://muscledeli.co.jp/

《BACCA GRILL&FARMERSオーナー：大武和樹》

15歳からイタリアンレストランの調理補助のアルバイトを始める。

高校卒業後、調理師専門学校に進む。

その後、都内複数店舗で役職付き料理人や料理長を経て渡仏。複数店舗を統括する総料理長を経て独立。

現在は3店舗の飲食店を経営している。

BACCA GRILL&FARMERS : https://restaurant.ikyu.com/106217/