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くりーむパンだけじゃない。企業価値をファンに浸透させる広報PR|株式会社八天堂

PR TIMES MAGAZINEでは、広報PR活動に課題を感じている企業・団体向けに、日本全国の地域ごとにサービス導入の成功事例を紹介するインタビューを実施。

本記事では、広島県に本社を置く株式会社八天堂の広報ブランディング室、藤井理絵さんにPR TIMESの配信事例、広報PRの課題とこれからなどについてお聞きしました。

株式会社八天堂の最新のプレスリリースはこちら:株式会社八天堂のプレスリリース

株式会社八天堂 広報ブランディング室 部長代理

藤井理絵(Fujii Rie)

ホテル・観光業界で広報・企画職を10年間経たのち、2021年12月に八天堂広報ブランディング室立ち上げとともに入社後、現職を担当。プレスリリースの発信やメディアリレーション、SNSアカウントの運営、ブランドマネジメントなどを担当する。

広島県三原市の和菓子店から始まった八天堂

──まず、八天堂という会社について教えてください。

八天堂は昭和8年(1933年)に初代が和菓子屋として広島の三原市で興したお店です。大恐慌の影響を受けて暮らしが苦しくなっていく中、「甘くておいしい和菓子を通じて、少しでも周りの人たちを元気づけたい」という想いで店を開いたようです。

そんな初代の遺志を継いだ二代目が、和菓子店であった八天堂に洋菓子を取り入れました。そして、現代表の三代目森光孝雅はパン業態へ転換した後、現在は初代の「和」と二代目の「洋」を融合した、新しい八天堂を作っています。

長年受け継いだ「和」と「洋」の技術を融合させ、生まれた「くりーむパン」は、八天堂の看板商品です。現在は海外にも進出しており、シンガポール、マレーシア、香港、カナダにまで広がっています。

株式会社八天堂インタビュー01

さらなる企業成長のために立ち上がった「広報ブランディング室」

──2021年12月に設立された「広報ブランディング室」は、どのような背景で置かれたのでしょうか。

こちらが設立されるまでは、広報やブランディングに関する業務は、それぞれの部署で専任者不在で実施していました。私は「広報ブランディング室」の設立とほぼ同時期に入社していますが、さらなる企業成長のために「ブランディング」と「情報発信」に力を入れる必要性を感じていたそうです。そこで社内で協議を重ね、広報とブランディングを推進する専任体制を整えるために「広報ブランディング室」が設立されました。

──「広報ブランディング室」の体制について教えてください。

「広報ブランディング室」には私を含めて2人のメンバーが在籍しています。名前の通り、業務内容としては広報活動とブランディング推進に関する業務をすべて担っており、具体的には社内報・社外報の作成やSNS運用、他企業や団体との連携企画の推進などを行っています。

くりーむパン以外のニュースや経営理念もお客様に発信

──「広報ブランディング室」が設立されて1年半ほどが経過しましたが、広報PRを行う際に意識していることはありますか。

「広報ブランディング室」が成立する前は、大きなトピックスこそプレスリリースが実施されていましたが、まだまだ届けたいニュースがたくさんある状態でした。部署設立後は、それまで世の中に届けていなかったニュースについても積極的に発信していくことを意識しています。例えば、八天堂は看板商品の「くりーむパン」以外にも数多くの商品を開発していますので、それらの商品の魅力も伝えていきたいと考えています。

──「広報ブランティング室」として、情報を社外に発信する際に心がけていることはありますか。

八天堂は今年で創業90周年を迎えます。そのため、八天堂の歴史や商品に対する想いについては常に記載するようにしていますね。また、経営理念をプレスリリースなどに掲載する際には、よりわかりやすい言葉を使うように心がけています。

弊社の経営理念は「良い品 良い人 良い会社つくり」なのですが、この言葉を「八天堂は『パン』と『スイーツ』が融合した『スイーツパン』で、お客様の笑顔・働くことで輝く人・より豊かな社会を創造・貢献することを目指します」というメッセージに書き換えています。代表とも話し合い、八天堂の経営理念を活字で受け取るメディアや社外の方にわかりやすい言葉にまとめ直す作業を行いました。

──よりよい広報PR体制を構築するために実施していることを教えてください

共通のブランドイメージでの発信を行うため、「表現マニュアル」を作成し、社内の各部署で活用してもらっています。例えば、今までは看板商品である「くりーむパン」について紹介する際に商品名と材料の表記が混在し、「くりーむ」「クリーム」などさまざまでした。「表現マニュアル」では、商品名は「とろけるふんわり感」や「しっとり感」が伝わりやすいよう、平仮名の「くりーむパン」、注入する材料そのものは「クリーム」という表記に統一しています。その他にも、「口どけ」という表現もあえて柔らかく平仮名表記で「くちどけ」にするなど、細かいルールを決めました。

──その他に、広報PR業務の中で工夫していることはありますか。

「広報ブランディング室」ができてからは、月次で広報実績について振り返る時間を設けるようにしています。プレスリリースは月3本以上配信、SNSでは目標・指標数値のKPIを設定しており、定期的に振り返りをすることで見えてくる課題もたくさんあります。それらの課題に対する打ち手を、メンバーと相談しながら決めていっています。

広報活動は定量的に捉えるのが難しい部分はあるのですが、パブリシティの件数や広告費換算でどれくらいの効果があったのかということも可視化するようにしています。金額のインパクトを社内で提示できるようになったり、実績を月次、年次で振り返ることができたりすることは、非常によかったと感じています。

配信の効果を実感したプレスリリース

──配信して効果があったと感じるプレスリリースを教えてください。

8月10日を「八天堂(はってんどう)の日」として登録し、社内外でロイヤルティを醸成

株式会社八天堂プレスリリース01

参考:【株式会社八天堂】8月10日は「八天堂(はってんどう)の日」本日、日本記念日協会から登録認定

ひとつ目は、8月10日を「八天堂(はってんどう)の日」とした記念日の登録に関するプレスリリースです。

もともと、8月10日は社名との語呂合わせで大切にしている日でもありました。広島空港前で運営している体験型食のテーマパーク「八天堂ビレッジ」では毎年8月10日にイベントなども開催しています。そのような背景もあり、社内で「8月10日を八天堂の日にできれば面白いのではないか」という声が上がっていました。八天堂をまだ知らない方にも親しみを持っていただける機会になればという思い、そして一緒に働く社員スタッフにも、公式に認定されれば喜んでもらえる取り組みになるのではという予想があり、日本記念日協会に申請することを決めました。

プレスリリース後は、記念日への登録をお祝いするコメントを他の企業様からいただいたのに加え、地元メディアからも反響があり、新聞やラジオに取り上げていただきました。今後も毎年8月10日には継続してイベントなどを企画して、さらに八天堂を盛り上げていきたいと考えています。

ファンのニーズに応えたくりーむパンの中身だけを楽しむ「とろけるくりーむ」はSNSで反響

株式会社八天堂プレスリリース02

参考:【株式会社八天堂】くりーむパンの「クリームだけを楽しみたい!」お客様の声にお応えして『とろけるくりーむ』オンラインショップで販売開始

2つ目は、2022年4月1日のエイプリルフールに配信したプレスリリースです。もともとお客様からのニーズがあり、弊社の「くりーむパン」の中に入っているクリームだけの商品を開発し、ECでの販売時期を検討している段階でした。お客様にも楽しんでいただけて、印象的な企画として実施したいと考える中、SNSに関する会議で、商品販売のタイミングをエイプリルフールにすることにしました。企画の構想などは4月1日の1ヵ月半前くらいから始めていましたね。

企画の内容としては、Twitterで以下の順番で発信しました。

①SNSでクリームが入っていないパンだけを販売するといううそのツイートをする

②その投稿内容はうそで、クリームだけの商品を販売すると発表する

③商品販売に合わせて、プレスリリースを配信する

SNSをフォローしていただいているお客様にはこの一連の流れを楽しんでいただき、商品化の背景や商品特長についてはプレスリリースでしっかりお伝えすることに努めました。この企画を実施した結果、全国放送の朝の情報番組にも取り上げてもらうことができ、ツイートへの反響なども非常に大きかったです。

商工農福連携ビジネスモデルの確立を目指す「八天堂ファーム」設立で地域に貢献

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参考:【株式会社八天堂ホールディングス】商工農福連携ビジネスモデルの確立を目指す新会社「八天堂ファーム」を設立

3つ目は、商工農福連携ビジネスモデルの確立を目指す新会社「八天堂ファーム」を設立したというプレスリリースです。「八天堂ファーム」は弊社の社員による社内ベンチャー。「事業を創出したい」という社員の想いが形になったニュースを、広く知ってもらいたいと考えました。

八天堂は千葉県木更津市の社会福祉法人と共同で就労継続支援B型としても機能する「八天堂きさらづ工場」を2017年に関東でのくりーむパン製造拠点として設立しており、福祉領域でも社会に役立ちたいという想いを持っています。

食品メーカーならではのノウハウや技術を活用し、2次産業・3次産業をつなぎ、農福連携に事業として取り組むことは、弊社だけで進めるのではなく、さまざまな会社を巻き込んで推進していきたいと考えています。

プレスリリースで広く発信することで、新聞などのメディアからも取材してもらい、新しい事業を幅広いステークホルダーに知っていただけたと思っています。プレスリリースはあくまで起点として考えており、事業を推進することで、代表のセミナー登壇などを含めて発信の場が増えてきました。

発信でファンをつくり、ステークホルダーとの架け橋に

──今年で創立90周年とのことですが、発信に力を入れていくために考えていることはありますか。

90周年を記念したLP(ランディングページ)の制作などはすでに進めています。それだけでなく、オフラインのファンミーティングなどのイベントを企画、準備していますね。看板商品である「くりーむパン」はもちろん、パンとスイーツを融合した「スイーツパン」という言葉を、もっと世に広めていきたいと考えています。弊社の強みである商品開発力や技術力が活かせるのがこちらのジャンルだからです。

「スイーツパン」という言葉はまだなじみがないと思うので、積極的に発信して定着させたいと考えています。時代の変遷とともに変化してきた会社でもあるので、これからも挑戦し続けていく姿勢をアピールしていきたいですね。

──今後の広報・PRにおける目標を教えてください。

すべてのステークホルダーとの架け橋となりたいと考えています。これからも誠実に情報をお届けすることで、1人でも多くの方に八天堂のことを知ってもらい、八天堂の活動に興味を持ってほしいです。

「広報ブランディング室」のミッションは、八天堂のファンを作ることだと考えています。1人でも多くのファンが作れるように、これからも頑張っていきたいです。

株式会社八天堂インタビュー02

今回の事例ポイント

入社1年半目でありながら、さまざまなユニークな取り組みを推進する「広報ブランディング室」の藤井さん。SNSとプレスリリースをうまく掛け合わせた効果的な広報PR活動を実施しています。

  • 広報とブランディング業務を専任で推進する部署を設立
  • 毎年8月10日を八天堂の日として記念日登録
  • お客様にワクワクしてもらうような企画を実施
  • 社会貢献性の高い事業をPRすることで、会社の魅力をPR
  • 創立90周年企画を構想中

今年で創立90周年を迎え、さらなる八天堂のファンづくりを目指す「広報ブランディング室」の取り組みに、今後も目が離せません。

なお、エイプリルフールをフックとした発信については、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。

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この記事のライター

小町ヒロキ

小町ヒロキ

取材ライター。新卒で大手損害保険会社に入社し、5年ほど営業として勤務した後、ライターとして独立。今までに取材した企業は100社を超え、200名以上にインタビューを実施しました。現在は取材ライター業務だけでなく、Webマーケティング会社の広報担当としてプレスリリースの作成や採用コンテンツの執筆を行っています。趣味はバラエティ番組を見ること。

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