PR TIMES MAGAZINE|広報PRのナレッジを発信するWebメディア
記事検索
title

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?

企業・組織には成し遂げたい目標や目指す方向性、社会に対する存在意義があります。それらを明文化することは、社内外のコミュニケーションにおいてとても重要です。

昨今は目まぐるしい社会の変化に合わせて、企業が自社の存在意義や役割を再定義することもしばしばあります。本記事では、「MVV」とは何かをはじめ、MVVの策定方法や運用計画について、広報活動に生かすための具体的なポイントを例示しながらお伝えします。

目次
  1. MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?

  2. MVVと企業理念や経営理念、行動指針との違い

  3. MVVを策定する重要性

  4. MVVを策定するタイミング

  5. MVVの作り方3ステップ

  6. MVVを策定する際の4つのポイント

  7. MVVを浸透させる方法

  8. MVVを浸透させるための4つのポイント

  9. MVVの事例

  10. 企業のアイデンティティをつくるMVVは、社内外のコミュニケーションの根幹

  11. MVVに関するQ&A

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?

「Mission(ミッション)」、「Vision(ビジョン)」、「Value(バリュー)」の頭文字をとった言葉です。それぞれどのような意味があり、どのような目的で策定されるのか解説します。

MVVイメージ

M(ミッション):企業が社会に対して「なすべきこと」

ミッション(Mission)とは、企業・組織が果たすべき使命や存在意義を表す言葉です。なぜこの企業・組織が存在するのか、社会にどのような価値を体現するのかなど、企業・組織が目指す社会について明文化します。

V(ビジョン):企業・組織が目指す「あるべき姿」

ビジョン(Vision)とは、企業・組織の理想像、中長期的な目標を表す言葉です。ミッションを実現するために、企業・組織はどのような状況になるべきか、どのような志であるべきかを明文化します。

V(バリュー):企業・組織の構成員が具体的に「やるべきこと」

バリュー(Value)とは、ミッションやビジョンを達成するための具体的な行動指針、行動基準を表す言葉です。企業・組織の構成員の行動や判断の基準となる価値観を明文化します。

MVVと企業理念や経営理念、行動指針との違い

企業理念、経営理念、行動指針は、MVVに近い使われ方をする言葉です。各企業によって使われ方が異なり、明確な定義はありません。

一般的には、それぞれのミッションを企業理念、ビジョンを経営理念、バリューを行動指針として対応させることがしばしば見られます。それ以外にも、ステートメントフィロソフィースローガンクレドなど、ほかの言葉で似た意味を表す企業もあります。

MVVを策定する重要性

MVVが必要な理由は多岐にわたります。もっとも重要な役割として、会社社員社会をつないで、社内外のコミュニケーションを担う点が挙げられます。

存在意義や価値観を明文化することで、経営陣・役員から従業員まで共通認識をつくることができ、ブレない経営判断、目標設定、方針策定が可能になります。同じ企業風土企業文化を共有することで、従業員のエンゲージメントが高まり、組織の一体感を醸成します。

インナーコミュニケーションだけでなく、幅広いステークホルダーへ具体的な企業イメージを発信することができます。IR(インベスターリレーションズ)や採用広報にも直結します。

MVVを策定するタイミング

MVVは、企業・組織の基礎となる言葉なので、本来は起業時・創業時に策定することがもっともふさわしいタイミングといえます。

しかし、起業時に策定したMVVに固執する必要はなく、社会の変化や経営方針に合わせて変更することも必要です。例えば、社長の代替わり、M&A後、周年記念時、上場など、組織の体制や経営方針が大きく変わるタイミングには、新たな指針としてMVVを変更することもあります。

MVVの作り方3ステップ

MVVはマクロなゴールを達成するためにミクロな行動を決める、という関係性で策定します。バリューはビジョンを実現させ、ビジョンはミッションを実現させるといった、一貫性を持たせます。

そのため、策定は以下の順番が一般的です。

  1. ミッション
  2. ビジョン
  3. バリュー

STEP1.代表や経営陣が事業内容を整理する

代表や経営幹部、役員層など、経営に関わるメンバーで事業内容を整理します。MVVは企業・組織の根幹に関わることなので、事業理解の深いメンバーがそろうことが重要です。

具体的に下記の方法で創業の想いや事業の主目的を抽出します。

  • 代表・経営陣などキーパーソンからのヒアリング
  • メンバーによるセッション

STEP2.ステークホルダーの分析を行う

自社に関わるステークホルダーを考慮することで、より効果的なMVVを策定します。分析対象を、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)とする3C分析がわかりやすい例として挙げられます。

3Cでは、少なくとも下記内容をリサーチすることが必要です。

  • 顧客が自社に求めるニーズ
  • 競合のMVV
  • 自社のポジショニング

STEP3.社員ワークショップを行う

上記のステップを踏まえ、場合によっては社員ワークショップを行い、より多くの社員の意見を取り入れることも大切です。仕事のやりがいや現場の生の声が反映されることで、社員全員がMVVを自分ごととして理解することにつながります。

MVVを策定する際の4つのポイント

MVVは策定すれば終わりというわけではありません。MVVが飾りにならないように、社内外へ浸透させることが重要です。そのために意識すべきポイントや表現について解説します。

ポイントイメージ

ポイント1.MVVのつながりを意識する

「MVVの作り方」でも述べたように、MVVそれぞれのつながりを意識した内容で策定することが大切です。MVVに一貫性を持たせることで、社員の行動イメージの解像度が上がり、普段から意識しやすくなります。

ポイント2.頭に残る情報量にする

MVVは、ぱっと見て内容が理解できるボリュームにします。多すぎる項目や長すぎる文章を避け、社員全員が頭に入れておける情報量を意識してください。

ポイント3.共感できる言葉にする

表現の格好良さではなく、広く理解が得られる言葉を選びます。耳慣れない横文字の言葉や人によって解釈が分かれる言葉、難解な言葉の使用は避けましょう。

ポイント4.時代や社会性を踏まえる

企業視点で伝えたい内容だけでなく、時代性・社会性にあった言葉選びや表現を意識しましょう。特に現在はネットやSNSの発達で、企業情報を目にする接点が多いので、企業のメッセージがリスクになる可能性もあります。

MVVを浸透させる方法

これまではMVVの策定方法を紹介しましたが、ここからは運用のためのポイントを説明します。「MVVを策定して終わり」にならないように、周知・浸透のための計画を立てましょう。

計画をたてるイメージ

1.社内でお披露目する

周知にもっとも効果的なタイミングは策定の直後です。社内報に留まらず、朝礼や全社会、決算報告会など社員が集まるタイミングで、策定担当者や代表の口から直接MVVの内容や策定への想いを語り、お披露目する機会を設定しましょう。

2.Webサイトや社内報に掲載する

広報活動のひとつとして、社内外のステークホルダーが目にするツールを活用して効果的に周知します。

例えば、自社サイトの会社概要やニュースページに記載したり、オウンドメディアでMVV策定の記事を公開したりといった、誰もが目にすることができるWebへの記載は周知に効果的です。対外的にプレスリリースを作成・配信してもいいでしょう。

3.人事評価に組み込む

人事評価の対象項目にしたり表彰制度を導入したりすることで、社員がMVVを意識する状況をつくります。

MVVを体現した社員を評価・表彰するポジティブな仕組みを取り入れれば、社員が目標設定する際にMVVを意識するだけでなく、面談や表彰式を通して評価された社員本人を起点としてほかの社員に伝播し、MVVが身近な存在であると感じてもらうきっかけにもなり得ます。

4.そのほかツールに組み込む

名刺や社員証、クレドカードなど、社員が常に携帯するツールに記載することで、日常的に目にする機会をつくります。

MVVを浸透させるための4つのポイント

上記の浸透の方法について具体的に押さえたい4つのポイントを解説します。

発信イメージ

ポイント1.継続的な発信

MVVの言葉通りの効果はすぐに表れません。中長期的に実現するものとして、継続して発信していくことが大切です。

ポイント2.経営者、代表からの発信

代表や経営陣、役員が発信することで、会社ごととして重要なコンテンツであることを伝えます。MVVは内容を頭に入れておくだけでなく、情緒的に伝わることも重要です。経営幹部の言葉で噛み砕いて、熱量を持って発信することで、より強く社員への浸透を図ることが期待できます。

ポイント3.会社ごとに紐付ける・組み込む

先ほど述べた人事・表彰のタイミング以外にも、決算や新人の入社研修などの会社ごとの都度、発信する機会をつくります。

ポイント4.周知だけでなく、「理解」の機会をつくる

ただ発信の機会を増やすだけでなく、MVVを理解する機会をつくることも重要です。MVVに関する社内ワークショップを社員研修・社員旅行で行うことで社員同士がMVVについて考え、語り合い、より深い共通認識の醸成が期待できます。

MVVの事例

実際に、企業はどのようなMVVを策定しているのでしょうか。MVVの事例を広告会社、事業会社、スタートアップ、官公庁の順でご紹介します。

事例1.博報堂

電通と並んで日本を代表する広告代理店。「未来を発明する会社へ。」というミッションの実現を目指して、発想の原点として「生活者発想」、ビジネスの原点として「パートナー主義」という言葉を置いています。特に「生活者発想」は、オウンドメディアやレポート、セミナー、著書の名称など多方面で活用されています。

※本記事では、博報堂で用いられるビジョンをミッション、フィロソフィーをビジョンとしてそれぞれ言い表しています。

Mission(ミッション):
・未来を発明する会社へ。Inventing the future with sei-katsu-sha
Vision(ビジョン):
・生活者発想
・パートナー主義
Value(バリュー):
・Ask 第一生活者として問いを立てる
・Draw まだ見ぬ生活場面を描き出す
・Build 次の時代状況を出現させる

事例2.ファーストリテイリング

日本を代表するアパレルブランド「ユニクロ」を展開する、世界トップクラスの大企業。アパレルブランドとして世界をリードする想いが込められています。

※本記事では、ファーストリテイリングで用いられるステートメントをミッション、ミッションをビジョンとしてそれぞれ言い表しています。

Mission(ミッション):
・服を変え、常識を変え、世界を変えていく
Vision(ビジョン):
・本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します
・ 独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します
Value(バリュー):
・お客様の立場に立脚
・革新と挑戦
・個の尊重、会社と個人の成長
・正しさへのこだわり

事例3.グッドパッチ

2021年に創業10周年を迎えたグッドパッチ は、UI/UXデザインを得意とする会社です。2020年にデザイン会社として初めて東証マザーズへの上場を果たしています。

ミッションをWeb検索時の企業名と併記したり、ホームページのファーストビューに表示したり、浸透のための工夫が見られます。

Mission(ミッション):
・デザインの力を証明する
Vision(ビジョン):
・ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる
Value(バリュー):
・Inspire with why
・Go beyond
・Play as a team
・Craft details, create delight
・Good design equals good business

事例4.デジタル庁

2021年に設置されたことが記憶に新しいデジタル庁。日本でもっとも新しい行政機関で、日本のIT化・DX化推進を目的に設置されました。

国の行政機関として、リーダーシップを感じさせる力強さと、国民に広く遍く目的や存在価値を伝えるためのわかりやすさが表現されたMVVです。

Mission(ミッション):
・誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を
Vision(ビジョン):
・Government as a Service
・Government as a Startup
Value(バリュー):
・この国に暮らす一人ひとりのために
・常に目的を問い
・あらゆる立場を超えて
・成果への挑戦を続けます

企業のアイデンティティをつくるMVVは、社内外のコミュニケーションの根幹

MVVの必要性から具体的な策定と運用方法までご紹介しました。MVVは部署や役職を問わず、全社員が関わります。さらにインナーコミュニケーションはもちろん、企業が生き残るためのマーケットへの影響や採用広報、IRにもつながることから、MVVは社内外のコミュニケーションにおいてもっとも重要です。そのため、企業そのものの価値を体現するアイデンティティともいえる言葉です。

時代の変化が著しい現在、MVVを見直し、策定し直す必要があるかもしれません。MVVについて理解を深め、自社のMVVについて、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

MVVに関するQ&A

PR TIMESのご利用を希望される方は、以下より企業登録申請をお願いいたします。登録申請方法料金プランをあわせてご確認ください。

PR TIMESの企業登録申請をするPR TIMESをご利用希望の方はこちら企業登録申請をする

この記事のライター

水井 歩

水井 歩

新卒でPR会社に入社、地域ブランディングを中心に、官公庁やナショナルクライアントのPR業務に従事。その後、広告代理店でプランナー兼コーポレート広報を担当。採用からインナーコミュニケーション、自社ブランディングに従事しながら、クライアントワークのコミュニケーション戦略を手掛ける「ウチ・ソト」の関係構築に従事する二刀流PRプレイヤー。

このライターの記事一覧へ