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社内からの情報収集を行う具体的な5つの方法と4つの注意点

広報PR担当者にとって、社内の「情報収集」は非常に重要です。プレスリリースだけでなく、SNSや社内報など、さまざまな場面で発信できるネタを常にストックしておく必要があるからです。

本記事では、社内で情報収集を行う手段としておすすめしたい5つの具体的な方法と、情報収集にあたっての注意点についてご紹介します。
プレスリリースのネタ探しについては別の記事で解説していますので、あわせて参考にしてみてください。

広報担当者が社内からの情報収集を行う具体的な5つの方法

ここからは、広報PR担当者が社内からの情報収集を行うための5つの方法を具体的にご紹介します。

1.社内の会議に出席する

社内からの情報収集を行う1つ目の方法は、社内で開催されているさまざまな会議に同席させてもらい、各部門の最新動向をキャッチアップすることです。

会議イメージ

経営会議に同席する

社内会議の中でも、代表や役員などが経営判断を行う場である経営会議にはぜひ出席したいところです。

経営陣のもとには各部署からの報告が集約されているため、社内の情報を効率的に入手できます。また、業界の展望や企業・団体全体としての今後の方針など、俯瞰した視点で自社を捉える機会でもあるため、メディア関係者に対してもよりディープな情報を提供できるようになるでしょう。

聞いておきたい内容

  • 売上や利益などの最新の数字の変化とその要因分析
  • 競合他社の動向に対する自社の方針
  • CSR関連(環境戦略や社会貢献活動に対する考え方)

各部署の定例会議に参加する

新商品・サービスの概要など、すでに決定している情報は広報PR担当者にとっても収集しやすいものです。場合によっては、「この内容でプレスリリースを出してください」と各部署から依頼が寄せられることもあるでしょう。

一方で、ファクトを発信するだけではメディア関係者や生活者の心に響く情報とならないことがあります。広報担当者としては、開発に至った背景や、進行中のプロジェクトに関するエピソードなど、ストーリー性のある情報もキャッチアップしたいところですが、待っているだけではそのような情報を得ることはできません。

そういった「プロセス」に関する情報を得るためには、各部署内で開催されている定例会議に参加するのがよいでしょう。

聞いておきたい内容

  • 開発している新商品・サービスの進捗状況
  • 開発過程で苦労しているポイント
  • 特に活躍している社員のエピソード

事例:アークランドサービスホールディングス株式会社 社長室 広報担当マネジャー 鈴木恵美さん

(情報のキャッチアップは)グループ全体で週1回、定例会議があるので、「議事録をとる」という名目で参加し、今後の予定や新メニューの開発状況などを確認しています。発表時には各事業部長や開発担当者と連携してプレスリリースの原稿を作成しています。

インタビュー記事より抜粋)

2.Slackなど社内チャットツールで各チャンネルに参加する

社内からの情報収集を行う2つ目の方法は、Slackなどの社内チャットツールを活用することです。

最新の情報やちょっとした雑談のような社内エピソードを収集するには、Slackなど社内のコミュニケーションツールの活用が適しています。各部署やプロジェクトのリーダーに相談し、参加可能なチャンネルに招待してもらいましょう。やり取りを毎日チェックし、業務の妨げにならない程度に広報活動をするのに必要な質問や深掘りをして情報を集めます。

従業員自身は「わざわざ会議で共有するほどでもない」と考えているような内容であっても、広報PRにおいては発信する価値の高い情報であることが多くあるのです。

事例:note株式会社 森本 愛さん

(1人目の広報PR担当者として入社して)Slackのいろいろなチャンネルに顔を出しまくりましたね。わたしがどこにでも出没するものだから、メンバーに「森本さん、いったい何人いるんですか」と言われたほどです(笑)。声をかけ、ねぎらい、褒める。1年ほどたって自分が送ったメッセージ数を数えてみたら、3万通くらいありました。

そうして、日々コツコツとコミュニケーションを重ねていくうちに、メンバーから「この情報ってプレスリリースになりますか?」と声をかけてもらえるようになってきたんです。

インタビュー記事より抜粋)

3.定期的に現場へ赴く

社内からの情報収集を行う3つ目の方法は、定期的に現場に赴くことです。

顧客や取引先とじかに接する場で人の様子や顧客や取引先とじかに接する場で人々の動向を捉えることで、「最近〇〇なお客さまが増えている」など、ニュース性のある変化をつかみ、情報発信の材料にすることができます。

営業担当者に同行させてもらう、店舗がある場合は接客などの補助業務を行うなどし、定期的にリアルな声や雰囲気を感じ取れる機会を設けるようにしましょう。メディア関係者に向けた対外的な情報発信はもちろんですが、現場に関する情報をそのほかの従業員に伝えることも、社内コミュニケーションにおいて重要な役割を果たします。

4.広報担当者に情報が集まる窓口をつくる

社内からの情報収集を行う4つ目の方法は、広報PR担当者に情報が集まる仕組みをつくることです。

お伝えしてきたように、広報PR担当者が自ら情報を探しに行くことも大切ですが、少人数チームの場合はなかなか手が回らないこともあるのではないでしょうか。効率的に情報を集めるためには、広報PR担当者に情報が集まる仕組みをつくれるとよいでしょう。

例えば、アンケートフォームを使用し「広報PR担当者に発信してほしい情報はこちら」などの情報提供窓口を設けたうえで、Slackなどの社内チャットツールで共有するといった方法が考えられます。

あくまでも一例ですが、アンケートフォームには下記のような項目を盛り込むとよいでしょう。

  • 担当部署・担当者
  • 発信してほしい時期
  • 情報を届けたい対象
  • 発信したい内容
    – 概要
    – 発信内容によって誰のどのような課題を解決するか
    – その内容を発表するに至った背景

5.各部署・チームの1人に、広報担当者の協力者になってもらう

社内からの情報収集を行う5つ目の方法は、各部署・チームのメンバーから1人、広報担当者の協力者になってもらうことです。広報PRの業務では、他部署のメンバーに通常業務より優先して対応してもらいたい状況が発生することもあります。そのようなとき、社内メンバーに広報PRの重要性を理解してもらえているかがスムーズなメディア対応のカギを握ります。

社内イベントの一環として広報PRに関する研修やレクチャーを行うなどの手段も考えられますが、まずは各部署のメンバー1人に「広報担当者の協力者」になってもらうことを目標にするのがおすすめです。必要に応じて各部署の上長に相談のうえ、適任者に声をかけ、広報PRに関する基本的な考え方をインプットしてもらってください。

どのような人が適任かについては、以下の記事を参考にしてください。

広報PRの重要性を認識してくれている従業員が社内に増えることで、4.で紹介した、広報担当者への情報提供の活発化にもつながります。

広報担当者が社内で情報収集を行う際に知っておきたい4つの注意点

ここからは、社内で情報収集をスムーズに行うために広報PR担当者が心がけておくべきポイントを4つご紹介します。

注意点とは

1.社内に情報収集の目的や意義を伝える

情報収集を行う方法の5つ目でも述べましたが、他部署のメンバーに自分の業務を止めて広報PRの業務へ協力してもらうこともありえます。自社が「社内の全員に広報PRの重要性が浸透している」という状況であれば協力をあおぎやすく広報担当者にとっても理想的ですが、自らの担当領域に集中していて広報PRに強い関心を持っていない……という従業員もいるでしょう。

質の高い情報を提供してもらうことでよりよい発信につなげるため、そしてお互いに気持ちよく仕事を進めるために、

  • 情報を必要としている理由、目的
  • その情報を発信することによって期待できる効果

をしっかりと伝えるようにしましょう。

事例:Ubie株式会社 BizDev/PR 重藤祐貴さん

(同僚の広報担当者である)片山悠さんが参画した当時、社内で各部門の担当者が抱えている課題をヒアリングしてくれたのも、全員参加型広報PRの土台になっていると思います。いろいろな種類の課題に対して「広報PRの力でこういう風に解決できるかもしれない」と具体的に提案してくれたことで、メンバーがより自分ごととしやすくなったというか。

インタビュー記事より抜粋)

2.社外に開示してよい情報か確認する

情報収集を行った結果、市場や業界にインパクトを与える情報を仕入れられたというときも、すぐに発信に向けて動き出すのは避けるようにしましょう。

社内では何気なく話されている内容でも、顧客や従業員個人に関わる機密情報であったり、まだ未確定な情報であったりする可能性があります。

そのような情報を不用意にSNSなどで発信してしまうと、自社のイメージ低下やビジネスへのネガティブな影響にもつながりかねません。収集できた情報が社外に開示可能な情報なのか、関係者に必ず確認をとるようにしましょう

3.アウトプットや社外からの反響を共有する

感謝を伝えるため、そして広報PRの重要性を認識してもらうために、情報を提供してくれた相手にはアウトプットや社外からの反響について共有するようにしましょう。

どのようにプレスリリースや広報PRの企画づくりに活かすことができたのか、それがどのような効果・貢献につながったのかを、数値や実際の記事、メディア関係者からのフィードバックを通じて可視化します。

また、成果は情報を提供してくれた相手だけでなく、社内全体にも共有できるとよいでしょう。

4.広報PRチーム内でナレッジを蓄積する

社内でどのような人からどのような話を聞くことができるか、ナレッジを蓄積していくことで情報収集をより円滑に進められるようになります。特に人数規模の大きい企業・団体ほど重要になる観点です。

部署ごとにキーパーソンを数人ピックアップし、それぞれの

  • 「〇〇さんはこの領域に特に詳しい」という得意領域
  • 過去に受けた取材の実績(取材されたメディアや内容)

などを資料としてまとめておくとよいでしょう。

チームメンバーの入れ替わりや増員があった際に、情報収集の動きが止まってしまうことを防げます。

社内からの情報収集は、よりよい広報活動を行うために最も重要視すべきことのひとつ

本記事では、社内から情報収集を行う具体的な5つの方法と、情報収集する前後の注意点についてご紹介しました。

いきなり「経営会議への同席」や「現場への同行」は難しいという方は、「社内チャットツールでさまざまなチームに参加する」「アンケートフォームをつくってみる」など、小さなところからはじめてみてください。

広報PR担当者の働きによって、社内に眠っている何気ない情報を「価値」に変換することができます。積極的な情報収集を行って、自社の魅力が伝わる発信をしていきましょう。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

社内からの情報収集に関するQ&A

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この記事のライター

野崎 有希

野崎 有希

PR Agency、HR TechにてPRとマーケティングを経験したのち、現在は通販会社(ショップジャパン)の広報部に所属。コーポレートPR、プロダクトPR、採用PRの戦略立案に従事。社会人キャリアはずっとコミュニケーションに関わる仕事をしています。人生のミッションは、「みんなの応援団」!周りの方が幸せになるきっかけをPRの力で作りたい。‟その人“の魅力を引き出すインタビュー記事は、読むのも書くのも好き。

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