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調査リリースとは?書き方・ポイント・事例を紹介

「新商品発売や新サービスローンチ以外にも、プレスリリースを出したい」。こんなときに、「調査リリース」を配信する広報PR担当者も多いのではないでしょうか。今回の記事では、「調査リリースを配信してみたいけれど、書き方がわからない……」と不安に感じている広報PR担当者に向けて、書き方や作成のポイントについてご紹介します!

そもそも、調査リリースとは?

調査リリースとは、企業が自社のサービスや商品に関係する調査を実施し、プレスリリースとして配信するものです。客観的なデータを打ち出すことにより、メディアにもアプローチしやすく、質の高いデータであればメディア関係者に取り上げてもらいやすくなります。

調査リリースとは?イメージ

調査リリースを配信する3つのメリット

調査リリースには、どのようなメリットがあるのでしょうか。こちらでは、通常のプレスリリースとはやや異なる、調査リリースならではの配信メリットを3つご紹介します。

1.客観性の高いデータを通じて自社を知ってもらえる

一般的に、数字は文章だけよりも客観性が高いとされています。調査リリースは、客観的なデータを通じて、自社・業界について知ってもらえるチャンス。貴重なデータや質の高いデータであれば、メディア関係者の目に留まりやすく、記事の掲載などにつながります。

直接の掲載につながらなくても、調査リリースの発信を続けることにもメリットはあります。メディア関係者に何度も見てもらうことで、「〇〇についてなら、あの企業が調査していたので詳しいかも」といった印象が定着し、業界全体をテーマにした企画、識者コメントなどの取材が入りやすくなります。

また、アンケートなどを通じて自社の課題を数値化することで、そのサービスが世間のニーズを反映したものであると伝えることができます。

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2.新商品や新サービス以外の切り口でPRができる

調査リリースは、新商品発売や新サービス開始などの切り口以外でPRできるのが特徴です。調査リリースは、直接的に新商品・新サービスを訴求するプレスリリースとは異なる発信手法。データを活用した客観的な切り口で、自社のブランドイメージや商品を取り巻く生活者の価値観を変えることができます。

一方で、新商品や新サービスを前面に出したい場合は、通常のプレスリリースも検討しましょう。調査リリースの前提は、「有益な情報をユーザーに提供する」ことである点を忘れないようにしましょう。

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3.営業ツールとして活用できる

調査リリースは、広報PRで使用する以外にも営業ツールとして二次利用する使い道があります。自社の商品やサービスに関して、市場から求められていることを見える化できる機会はそう多くありません。また、調査機関など第三者がもたらすファクトが、説得力を持って潜在顧客に訴えることもあります。客観的にアピールできる資料として使用できる点もメリットといえるでしょう。

調査リリースの書き方・作成方法の3ステップ

調査リリースは、誰が読んでもわかりやすいよう簡潔な構成・文章であること、データが正確であることなどが重要となります。こちらからは、調査リリースの書き方や作成方法を紹介します。

1.サマリーは、調査で伝えたいことを400文字以内で簡潔に

調査リリースの「サマリー(概要)」とは、調査リリースの内容を簡潔にまとめたものです。サマリーでは、もっとも伝えたいことを分かりやすく明記できるとよいでしょう。データに基づいた文章やグラフが挿入された調査リリースは、内容が長くなりがち。読み手が限られた時間で内容を把握するためには、わかりやすい概要があったほうがよいです。

わかりやすくするため、箇条書きや表などの形式をとるのもおすすめですが、サマリーの文章量は、200~400文字におさめましょう。文章が少なすぎるとサマリーとして見てもらいにくく、多すぎると概要で内容を把握するのに時間がかかってしまう可能性があります。

2.サマリーに沿って本文を書く

サマリーを書き終わったら、それに沿って本文の項目を列挙しながら、執筆していきます。文章量が多すぎると読みにくいので、調査リリースはなるべくA4、3枚以内にまとめましょう

グラフや図を多用する場合は3枚に入りきらないこともあるため、社内の第三者に読んでもらって、枚数が多くてもわかりやすいかどうか意見をもらうのもよいでしょう。あまりにも長くなりそうな場合は、調査リリースはなるべく簡潔にまとめ、詳細はPDFや外部リンクとして貼り付けましょう。

3.情報が正確かチェックする

作成した調査リリースは、情報が正確かどうかを必ず複数の担当者でチェックしてください。担当部署の責任者に加え、広報PR関連部署のメンバー、必要に応じて、法務部にリーガルチェックもあおぎましょう

また、例えば2つ以上のデータを並べて掲載している中でひとつでも異なるファクトを示してしまっていると、調査リリース全体がちぐはぐな印象を与え、誤解されかねません。採用するデータ、またそれを通じて発信したいメッセージは絞り込み、ミスリードが起きないようにしましょう。

メディア向けの調査リリースにおいては、ミスリードな調査リリースを発信したがゆえに自社の誤った情報が拡散されるリスクが高まります。掲載後に「この情報が間違っていた」という訂正を出さずに済むように、細心の注意を払ってチェックしましょう。

調査リリースに盛り込む5つのポイント

読みやすい調査リリースには、どのようなことが書かれているのでしょうか。ここからは、調査リリースを書くときに盛り込みたい5つのポイント(項目)を紹介します。完成した調査リリースは、上長や広報PRを担当するメンバー、法務部など社内の幅広い担当者に意見を聞きながら修正できるとベターです。

なお、PR TIMESで配信する調査リリースについては、内容に関して独自の基準を設けています。以下のページを参考にしてみてください。

参考:(2022/6/16改定)調査リリースの発表に関する内容

調査リリースのポイント

1.調査概要

調査リリースでは、調査概要を必ず記載しましょう。取り上げたい項目は、以下の5つです。

A.調査対象

調査対象の属性、人数などを明記しましょう。

例)○○株式会社「△△サイト」に登録している、2024年新卒入社予定の学生36,500名

B.調査期間

アンケート・調査を集計した期間は、いつからいつまでかを明記しましょう。なお、PR TIMESでは、調査期間の終了日から6ヵ月以上経過した調査リリースは推奨していません。

例)2022年10月1日〜2023年1月31日

C.調査機関(主体)

調査を行った機関(主体)を記載しましょう。

例)調査委託先:株式会社xxxxx、自社調査など

D.調査・集計方法

調査方法と集計方法を明記しましょう。

例)インターネット・電話・会場・郵送での調査、単純集計、クロス集計など

E.有効回答数

有効回答数とは、回収した回答から、集計に不適正な無効回答を除いた回答数のことです。実際に得られた有効回答数はいくつかを必ず明記しましょう。

例)有効回答数:29,000

2.調査した理由

調査リリースには、なぜこの調査を行ったのかの背景を明記しましょう。調査背景が明記されていない調査リリースが多いのが現状です。なぜ、自社がこの調査をやる意味があるのか、なぜ今この調査をやろうと思ったのかを明記することは、非常に重要です。社会問題や時事問題から問題意識が発していることを明記すると、メディア関係者も記事にしやすく、記事掲載率もあがります。

3.グラフ・図表などのビジュアル資料

調査リリースには、グラフや画像が必ず入ります。グラフはそのまま転載されても大丈夫なように、誰にでも見やすく、わかりやすいデザインで作成することをおすすめします。また、グラフには「グラフタイトル」「数値」「n数」は必ず入れます。

データごとにn数が異なっていたり、複数のグラフを使ったりすることもあるでしょう。その場合は、個別のグラフ内に情報を忘れずに記載しましょう。使う調査データや打ち出したいメッセージに適したグラフを使用し、見た目(デザイン)も整えられればベターです。

4.有識者のコメント

可能であれば、有識者のコメントを入れましょう。「有識者」といっても、難しく考えなくて大丈夫です。特定の分野にかかわるアンケートであれば、自社の該当する部門担当者、代表や役員、事業部長など、そのサービスに詳しい人材であれば問題ありません。このコメントを入れることによって、メディア取材が入ったときに自社の担当者をアサインしやすくなります。

5.まとめ

最後には、調査の振り返りを記載しましょう。調査概要と内容が重ならないようにしつつも、調査の総論をまとめることができるとベターです。

お手本になる!調査リリースの事例

ここでは、お手本となる調査リリースを配信している企業の事例を3つご紹介します。ぜひ参考にして、調査リリースの質をあげていきましょう!

1. 象印マホービン株式会社

「調査概要」が400文字以内で簡潔に書かれているのに加え、結論を箇条書きで書いた「調査結果のまとめ」を冒頭に置くことで、一目でどのような調査かわかる構成にしています。グラフを横並びで配置しており、ページ数を抑えながら分かりやすく伝えようとする工夫を感じることができます。

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2. LINE株式会社

スマートフォン専用のリサーチプラットフォーム「LINEリサーチ」を用いた、高校生を対象としたアンケート結果です。プラットフォームの紹介はシンプルですが、冒頭からすぐにアンケートの結果に触れている構成はわかりやすいといえます。調査概要はあえて末尾に置き、冒頭にアンケート詳細のサイトリンクを貼ることで、興味を持った読み手向けの動線が意識されています。

参考:【LINEリサーチ】高校生がいまハマっているアニメは「SPY×FAMILY」が1位、アニメ化してほしい作品は「薬屋のひとりごと」「ミステリと言う勿れ」が上位にランクイン

3. 株式会社ユニワーク

こちらはユニフォーム卸売業を営む株式会社ユニワークが調査した、飲食店のWeb集客にまつわる調査レポート。コロナ禍を経た飲食店の実情を、簡潔な言葉とグラフで伝えています。BtoB分野の領域でありながら、生活者と密接にかかわる接客分野でのテーマ選定や質問事項の細かさが光ります。資料としての価値が高い調査レポートといえるでしょう。

参考:ウェブ集客に取り組んでいる小規模飲食店は14.2% 外注活用に「知識」「手間」「コスト」の壁

調査リリースを書くときの3つの注意点

実際にメディア関係者は、どんな部分を意識して企業の調査リリースをチェックしているのでしょうか。そして、調査リリースを書く広報PR担当者はどんなことに注意して執筆すべきでしょうか。ここでは、調査リリースを書く際の3つの注意点をご紹介します。

調査リリースのミーティング風景

1.情報の偏りが生まれないよう意識する

調査リリースを作成する際は、調査対象が少なすぎたり、偏りがあったりしないように意識しましょう。例えば回答者数が30名や50名などのように少ない場合は、信ぴょう性の高いデータとはいえないでしょう。回答者数が多ければ多いほど、信頼度の高いデータとなります。回答者数は最低でも300名ほど確保できるとベターです。

2.自社PRのみが目的の内容は避ける

最終的には自社をPRすることが目的ではありますが、調査リリースは、自社や自社商品、サービスを直接アピールするほかのプレスリリースとは異なった表現方法であることを、忘れないようにしましょう。

そのため直接的なPRは避け、読み手にとって役立つ情報を提供する中で、自社にも興味を持ってもらう自然な動線を設けることが大切です。自社PRを第一目的に組み立てるのであれば、通常のプレスリリースで十分でしょう。

3.生活者視点で有益かどうかを考える

メディアは読み手に有益な情報を届けるために、調査リリースを取り上げます。生活者にとって価値のない情報をメディアは取り上げません。メディアへのパブリシティを得るのが目的の場合は、その調査リリースが「生活者にどう有益なのか」を意識しながら調査リリースを企画することをおすすめします。BtoB分野で潜在顧客を意識している場合は、顧客にとって有益な情報かを意識しましょう。

調査リリースは、継続的な発信が重要

本記事では、調査リリースの構成や書き方、注意したいポイントについてお伝えしました。

まだ、調査リリースの作成に取り組んだことがない方も、今からでも遅くはありません。

競合他社の調査リリースを参考にしたり、発表後にメディア関係者などからフィードバックをもらったりしながら、調査リリースの質を向上させ、読み手にとって有益な情報を発信していきましょう。

調査リリースは手間がかかりますが、客観的なデータやアンケート結果に裏打ちされた情報は、自社のPRにつながったり、ファンを増やしたりするポテンシャルを秘めています。ただ、読み手に「信ぴょう性がある」と実感してもらうためには、調査の題材や切り口をある程度練ることが大切です。目的や背景設定を忘れずに、調査リリースの作成に取り組んでみてくださいね。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

調査リリースの書き方に関するQ&A

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この記事の監修者

松田 昇子

松田 昇子

スタートアップ企業にて広報PRチームの立ち上げを経験後、2021年4月にPR TIMESへ入社。カスタマーリレーションズ本部にてカスタマーサポートを担当し、2022年3月より審査プロセス担当に着任。現在はお客様対応に携わる一方で、PR TIMESの掲載基準や企業登録審査プロセスの改善を行っています。

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