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広報PRに欠かせないメディアリストとは?作り方のポイント・活用のコツを紹介【テンプレートあり】

メディアリストはプレスリリースの送付先の精査だけでなく、広報PR活動全般に関わります。

今回は、メディアリストの重要性、メディアリストの項目、メディアリストを作成するステップ、作成・活用の際に気をつけたいポイント・コツを紹介します。すぐに作成を始められるよう、メディアリストのテンプレートをご用意していますのでぜひご活用ください。

メディアリストとは

メディアリストとは、テレビ、新聞、雑誌、Webメディア、ラジオ、フリーペーパーなど多くのメディアの中で、自社のプレスリリースの送付先をリスト化したものです。一般的に、メディアの正式名称や会社名・部署名、担当者名、連絡先、掲載履歴などの情報をストックします。

メディア関係者によって望ましい連絡方法が異なるため、電話番号やメールアドレスなどの連絡先に加え、コンタクト履歴や特に配慮すべき点を明記しておくと、広報PRチーム内の対応がスムーズに運びます。

メディアリストが重要な理由とは?作成する3つのメリット

メディアリストが重要な理由は、日頃の広報PR活動を円滑に進めるだけでなく、業務に携わっていない人にとっても評価する指標ができて役立つということです。

下記のメディアリストを作成する3つのメリットに沿って、メディアリストが重要な理由について説明します。

プレスリリース配信

1.迅速な情報発信・スムーズなメディア対応ができる

広報PR担当者の中には、迅速な情報発信やスムーズなメディア対応を求められた経験がある方も多いのではないでしょうか。予定していなかったタイミングでもそれらは求められます。

災害やテロ、事件・事故、不祥事などのトラブルが発生した際は、事前に計画していることばかりではなく、メディア関係者への連絡手段を整理する時間はないでしょう。

そのようなタイミングでもメディア関係者にスムーズに情報発信するために必要なものが、メディアリストです。メディアリストに電話番号やメールアドレスを用意していることで迅速に対応ができます。

2.属人化しない広報PR活動ができる

メディア関係者に関する情報は、属人化するおそれがあります。広報PR担当者がひとりの「ひとり広報」の場合やメディア関係者とのやりとりを限られた人に任せている組織の場合は特に注意が必要です。より質の高い広報PR活動を行うためには、業務や成果に表れてくる前の状況を部署・チーム内で共有することが必要です。

メディア関係者の情報をメディアリストを活用して部署・チーム内で共有し、部署・チーム、ひとり広報の場合は社内の誰もが対応できる状態にします。同じ情報を持つことで、過去の振り返りもしやすく、広報PR活動を中長期にわたって効果的に進めることができます。

後述しますが、メディアリストを単なるアドレス帳やプレスリリースの配信履歴の記載とせず、広報PR活動の履歴を網羅したものにしましょう。

3.評価する際の指標ができる

自社の広報PRを担っている担当者の場合は上司や経営層から、PR会社やフリーランスの広報PR担当として活動している方の場合はクライアントからなど他者から広報PR活動の評価を受ける必要があります。

その際に必要になるのが、定量的なデータや可視化された情報です。評価の基準として、メディアへの掲載量や目的に沿った内容だったかなど、パブリシティを指標にしている企業がもっとも多く、重要な指標でしょう。一方で、同時期に大きなニュースがあると掲載量が減る、話題性が高いほど目的に沿わない掲載が増える、情報発信しても短期間で掲載につながらないなど、コントロールできない点が多いのも事実です。

それをコントロールするにはメディアリストの充実が必要で、それには日々の広報PR活動の蓄積が大事です。新たにコンタクトできたメディア関係者を追加し、リストの人数が増加すれば、今後の広報PR活動に役立ち、部署・チームの資産となります。新たな情報をキャッチし、ネタ化すれば、未来の成果につながるでしょう。広報PR活動の評価を適切に行うために、掲載に至るまでのプロセスを開示するためにメディアリストは役立つのです。

メディアリストに必要な10項目

ここからは、メディアリストに必要な項目を紹介していきます。リストの蓄積が進んでから新たな項目をプラスすることは非効率です。メディアリストの作成を始める前に必要な項目を確認しましょう。

1.メディアの種類・ジャンル
メディアをカテゴリーごとに区別するために、「種類」と「ジャンル」の項目を作ります。新聞、テレビ、雑誌、ラジオ、Webメディアなどの「種類」と、雑誌であれば一般週刊誌、ビジネス誌、美容誌などのような「ジャンル」で分類します。

2.メディア名(Webの場合はURL)
コンタクトをとる際に、そのまま表記して誤りがないよう、必ず正式名称で入力します。また、Webメディアがある場合はURLも記載しましょう。

3.会社名
こちらもメディア名同様、そのまま表記して誤りがないよう、必ず正式名称で入力します。

4.部署名
一般紙の「編集局経済部」「横浜支局」のように、部署名にはメディア名がつかない場合もあります。

5.担当者名
担当者名は漢字にも気をつけて入力しましょう。また、プレスリリースの受付窓口は個人とは限りません。「プレスリリース受付」「コーナー担当」のように係・担当宛を指定された場合はその名称を入力します。

6.担当者の経歴
これまで携わっていたメディアや業務内容など経歴、その他仕事に関わる担当者の情報を記入します。ニュースの種類が多い企業は、その担当者がどのようなジャンルに興味があるかタグ設定を行い管理をすると、コンタクトをとる際に便利です。または、ニュースの種類別にメディアリストを分けて管理しましょう。

7連絡先(住所/固定電話番号/携帯番号/Fax番号/メールアドレス)
メディア関係者から確認した、電話がつながりやすい時間帯や電話を避けるべき時間帯を番号とともに記載すれば、メディアへのコンタクトに役立ちます。Faxを通じた情報発信の有効性や使用頻度はメディアによって異なりますので、メディア関係者に確かめ、連絡手段の希望欄に加えておきましょう。また、年末にカレンダーを送付、紙のご案内状を送付など郵送が発生する場合、住所を「郵便番号/都道府県/市区町村/その他住所」など分けて入力することも検討しましょう。また、連絡手段の希望があれば記載しておきましょう。

8.SNS
メディア関係者のTwitter、Facebook、Instagram、LINEなどのSNSは、メディアの動向の把握に有効です。メディア関係者のSNSは動向を把握するだけでなく、ダイレクトメッセージを送ることができるので重要です。

9.コンタクト履歴
この項目は次のアクションにつながる重要な項目です。時間が経って振り返ったとき、業務に携わっていなかった人が見たときにもわかるような内容を入力します。シートでは、プレスリリース送付、企画提案、情報提供など、どのようなコンタクトを行ったのか、ある程度集約できるようにプルダウンの選択制にするのもおすすめです。

10. 掲載履歴
クリッピングした自社情報の掲載記事の有無を記載します。

その他備考
1~10で記載できない申し送り事項を、コンタクト履歴同様、詳細に記入しましょう。リスト化した記者・メディア関係者のこれまでの掲載、手がけた実績も合わせてリスト化すると、メディアリストを整理する際、コンタクトをとる際の参考になります。イメージは以下テンプレートの「タブ:No.1(個人別)」を、また広報PR活動の目標がメディアごとに設定されている場合は「タブ:No.1(メディア別)」をご覧ください。

メディアリストのテンプレート

前述の項目を踏まえたメディアリストのテンプレートを極力シンプルな形式でご紹介します。

広報業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する際には、データを抽出し、さまざまな切り口で分析できるツールの導入もよいでしょう。また、コンタクト履歴からメディアコンタクトの報告書、掲載履歴から掲載記事一覧表やクリッピングの台紙を作成できるシステムを採用すれば、業務の効率化につながります。

メディアリストを初めて作成、運用する場合の参考としてご活用ください。

メディアリストのテンプレート
メディアリストのテンプレート

メディアリストの作り方は?作成する5つのステップ

よりよいメディアリストは、「充実した内容」と「運用のしやすさ」を満たしているか。自社でゼロからよりよいメディアリストを作成するためのステップを、プレスリリース送付を前提に5つに分けてご紹介します。

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STEP1.自社の特徴・強みを言語化する

メディアリストは、実際の情報収集と同じくらい作成前の準備が大切。実際に活用することも見越して、事前の情報整理をしましょう。

まずは、自社の特徴や強みを把握すること。例えば、新商品のプレスリリース用にメディアリストを作成する場合、企業としてのユニークなポイントを整理しましょう。

業種・業態によって目指すべきメディアは異なりますが、自社をとりまく社会情勢にも目を向け、メディアを検討します。広報PR担当者が複数名いる場合には、互いに共通理解を持つために一層の言語化が重要です。

STEP2.提供できる価値を具体化する

続いて、提供できる価値の具体化です。次のステップである「メディアの洗い出し」を行ううえで、メディア選定のひとつの基準となります。

STEP1で定めた企業としてのユニークなポイントがすべての情報発信の「根幹」だとすると、この具体化は「幹や枝葉」の特徴を吟味する作業。実際にメディアにコンタクトをとる際にも必ずチェックされる部分です。プレスリリースで発表する新たなニュースによって、誰のどのような生活をよくするのかにメディア関係者も注目しています。新商品であれば、商品の特徴を整理することで、それを利用する人のペルソナや傾向、エリア、活用場面などさまざまな切り口が見えてくるでしょう。

STEP3.合致するメディアを洗い出す

情報がある程度整理されたら、いよいよ対象となるメディアの洗い出しです。インターネットだけでなく、『マスコミ電話帳』などの専門媒体も参考になるでしょう。メディアの洗い出しを行ううえで大切なのは、自分たちはどの情報を取り上げてもらいたいか(STEP1.自社の特徴・強みを言語化する)という視点と、メディア側にとって有益な情報提供になるか(STEP2.提供できる価値を具体化する)という視点の、両方を持つことです。

「メディア」の先にいるのは多忙を極めるひとりのビジネスパーソン。一人ひとりが担当ジャンルを持っており、求めている情報は日々変わります。媒体資料や既出の記事をもとにミスマッチがないか、あらかじめ確認をしています。

そして、各メディアの編集方針や記者の所属先は更新されていくので、いつの時点の情報なのかもチェックしましょう。プレスリリースの送付窓口が見つからない場合は、問い合わせフォームなどから送付可否を確認することも検討してみてくださいね。

メディアリスト用に媒体を選定する方法については、こちらの記事もご覧ください。

STEP4.リスト化しながら情報整理する

対象となるメディアの洗い出しができたら、いよいよリスト化です。基本的な項目以外でも、記者と直接やりとりした際に知り得た情報や個別の会話が後々役に立ちます。特に、記者が必要としているニュースのジャンルに関する情報は、各自が記録を残しやすいフォーマットにしておくのがおすすめです。

STEP5.定期的にブラッシュアップする

メディアリストがある程度まとまったら、プレスリリースの内容をもとに適切なメディアを選択し、実際の連絡に活用していくことになります。

ただし、メディアリストは一度作成して終了ではありません。メディア関係者の人事異動や転職などで担当が変わることも多いため、定期的にブラッシュアップを行うようにしましょう。その際、入力や更新のルールが定まっていないと、情報更新のたびに統一性が損なわれます。高い頻度で更新が必要という前提に立ち、あらかじめ共通ルールを設定しておくとよいでしょう。

メディアリストを作成する3つのポイント

広報活動に最大限の効果をもたらすメディアリストを作成するためには、どのような点に注意したらよいのでしょうか。メディアリストを作成する前に確認しておきたい3つのポイントを解説します。

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1.チームで共有・円滑に運用できるスタイルにする

メディアリストを作成する際は、環境や経験・スキルを問わずに部署・チームのメンバーが共有でき、円滑に運営できるスタイルにすることが大切です。

コロナ禍でリモートワークが広がり、出社せずに勤務することが増えました。また、部署・チームのメンバーの変更や異動、加入があった場合、経験・スキルを問わずに使いこなせるメディアリストを作っておくことが求められます。

複数のメンバーで使用することを念頭に、運用ルールをしっかり定め、周知しましょう。

2.メディア関係者にダイレクトにコンタクトする手段を増やす

メディア関係者に情報提供する連絡手段は年々増え、プレスリリースの送付も郵送やFaxからメールへと変わっています。面会でのメディア関係者への情報提供は、編集部を直接訪問するだけでなく、Web会議システムも重宝されるようになりました。

メディア関係者にもリモートワークが広がり、従来の連絡手段では直接やりとりできないこともあります。編集部の電話番号、Fax番号だけでなく、携帯電話番号、メールアドレス、SNSなど、メディア関係者にダイレクトに情報提供できる手段を増やしましょう

3.広報PR活動の履歴を記載する

メディアリストとは別に、コンタクトや掲載実績を管理しているケースも多いのではないでしょうか。できる限りまとめて管理し、業務の効率化を図りましょう。

  • 記者発表会への案内・出席
  • メディアキャラバンの実施状況
  • メディアコンタクトが始まったきっかけ
  • 情報提供からネタ化したもの

このような内容もメディアリストで一元管理し、広報PR活動を部署・チーム内でより共有しやすい形式を検討してください。

メディアリストを活用するうえで注意すべきこと

メディアリストができたら、実際に連絡をとる前に、部署・チームとしての活用方法を検討し、ルールを定めます。メディアリストは個人情報が集約されたデータ、取り扱いにあたっての十分な注意喚起のためです。

メディアリストの取り扱いルールを定める

メディアリストは、作成者以外の複数のメンバーが閲覧・編集することがあります。原則となる個人情報保護法に基づき、情報の取り扱いには十分な注意が必要であることを、関わるメンバーに必ず周知しましょう。

また、以下のような自社に合ったルールを定めることも大切です。

  • 同時編集や別名保存の禁止
  • 更新履歴(更新社名や更新日時)の記載

メディアコンタクトの際に自社の要望を伝えない

自分たちの商品やサービス、活動内容に誇りや情熱を持つことは必要ですが、「記事にしてほしい」ということばかりを要望として伝えることは、機会損失につながります。

報道するというのは、あくまでもメディア側の判断です。多くの情報の中から、自社のメディアに適した=世の中・読者などにとって価値があると思ったものを記事にしたり、放映したりします。「記事にしてほしい」と要望ばかりを伝えることよりも、なぜ記事として取り上げるべきなのか、メディアやその読者などにどんな示唆を与えるのかなど、相手の立場を理解しながら、共によい発信をするための具体的なアイデアやストーリーを提示する姿勢が大切です。

プレスリリース配信サービスのメディアリストの活用

もともとメディアリストは、企業の広報PR担当者が直接メディア関係者にコンタクトをとったり、取材問い合わせに対応したりするために、作成・活用するものでした。しかし、2008年ごろから徐々に活用事例が増えてきた「プレスリリース配信サービス」の台頭で、メディアリスト作成にも変化が訪れます。

「プレスリリース配信サービス」が保有・提供しているプレスリリースの配信先を活用し、一度もコンタクトをとったことがないメディアにも、自社のプレスリリースを送ることができます。

選択できるプレスリリース配信サービスによって配信可能なメディアは異なりますが、最大の利点は掲載のチャンスが広がること。コンタクトをとったことのないメディアに対するプレスリリースの配信が、思いがけないパブリシティの獲得につながる場合もあります。

プレスリリース配信サービス「PR TIMES」では、最大300のメディアにプレスリリースを送ることができます。

メディアリスト作成のコツは情報整理とルール決め

よりよいメディアリストの条件は、「充実した内容」と「運用のしやすさ」。そして、そのようなメディアリストを作成するコツは、作成前に「情報整理」と「ルール決め」をいかに準備するかです。

まず、「充実した内容」にするための「情報整理」。企業としてのユニークなポイントや提供できる価値を整理します。メディアやその読者などにどんな示唆を与えられるか、どのような価値を提供できるかをまとめておきます。

そして、「運用のしやすさ」のための「ルール決め」。時間が空いて振り返った際、作成者以外の複数名が活用することを想定し、統一した入力や更新のルールを定め、作成環境や経験・スキルを問わず活用できるように準備します。

「充実した内容」と「運用のしやすさ」が伴う、よりよいメディアリストにするために、作成時の「情報整理」と「ルール決め」を徹底しましょう。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

プレスリリースのメディアリストに関するQ&A

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