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2020年オープン後100人以上を取材「Hondaらしさ」を追いかけ、個に焦点を合わせた採用ブランディング

創業73年を迎えた本田技研工業(以下、Honda)は企業としての発信が増え、2021年4月より代表執行役社長の三部敏宏氏の「今が第二の創業期」という発言が話題になりました。そんなHondaは、現在採用ブランディングに関しても強化しています。その背景や想い、「Hondaらしさ」を追求する採用ブランディングについて、人事部長を務める大野氏と昨年オープンしたオウンドメディアを担当する相澤氏にお話を伺いました。

本田技研工業株式会社 人事部 部長 主幹

大野 慎一(Ono Shinichi)

1998年、大学卒業後、京セラ株式会社に入社。人事として人事労務業務全般に従事する。2003年、本田技研工業に中途入社。自らの希望で鈴鹿製作所に配属、その後本社の労政企画部にて評価処遇制度の見直し、東日本大震災の起こったときには全社の労務対応を指揮。カナダ工場におけるHRアドバイザー業務、本社人事部 企画課長、人材開発課長を経て、2021年4月から本社人事部にて部長を務める。

本田技研工業株式会社 人事部 人材開発課 採用グループ

相澤 くる美(Aizawa Kurumi)

2016年、大学卒業後、本田技研工業株式会社に入社。新入社員実習の後、二輪やパワープロダクツの量産拠点である熊本製作所の総務課に配属。社内資格制度、育児介護窓口などを担当。2019年11月人事部人材開発課に異動し、現職。事務系新卒採用の担当を経て、現在は採用ブランディングや中途採用を担当し、「Hondaの人=原動力を伝える」をコンセプトにしたオウンドメディア「Me and Honda,Career」の運営も行う。

創業73年を迎えたHondaが採用ブランディングを始めた背景

「Hondaらしさ」は製品そのものではなく、それを生み出せる人

── ここ1年で採用ブランディングを強化している印象ですが、何か背景はあるのでしょうか。

大野さん(以下、敬称略):もともと「“Hondaらしさ”というのは製品そのものではなく、それを生み出せる人=新しい価値を生み出せる人がHondaらしさの源」という考え方があり、採用や人事という点はとても重視してはいたんです。

しかし、社員一人ひとりの想いや人柄についてはを知ってもらえていない、訴求力が足りていないということには課題を感じていました。お会いした方や社員のことを知っていただいた方には揃って「Hondaらしいですね」と社員のことに着目していただくのですが、なかなかそれが多くの方には届いていないな、と。

Honda取材01

カナダ駐在の経験、色濃くなったHondaの異業種文化

── その課題に対して、行動に移されたきっかけはあるのでしょうか。

大野:課題をより強く感じたのが、カナダでの駐在経験ですね。日本でも個に焦点を合わせることを掲げていたものの、振り返ると制度の策定、それを運用することに奔走していました。そんななかでのカナダでの経験は大きくて。

カナダでは個の能力を引き出す、伸ばすための「能力開発」や会話の中心も人にあります。日本でももちろん「能力開発」を行っていましたが研修の充実などが主なもので、個々に合わせたカリキュラムを組めるわけではありませんでした。また、一緒に働く仲間からの影響も非常に大きかったですね。海外では「人事」領域について、大学から専攻するなど、学んでいる人が多いんですよ。

「人事」をもっと強化できると感じた経験でしたね。

── この数年での変化も大きいように感じますが、そのあたりはいかがでしょうか。

大野:取り巻く環境の変化も大きいです。

今、事業として、CASEやMaaSなどモビリティを取り巻く技術革新が目覚ましく、「モノ・コト」のあり方や使い方が変わる100年に一度の大転換期に直面しています。そのようななかで、必要とする専門性も高くなっていて。

人事としては、どのような人を採用していくのか、どう活躍してもらうか、ということにつながります。多くの情報がいつでもどこでも手に入るようになった今、採用の点でもHondaで働くことについていかに届けるかが大切になります。そして、働く価値観や働き方が多様化しているなかで会社としていかに向き合っていくかということにも取り組んでいます。

将来的にHondaに興味を持っていただける方に「Hondaでチャレンジすることの魅力」をいかに伝えるか、届けるか、そして向き合っていくかですね。

Honda取材_エントランス

2020年オープン後100人以上を取材「Hondaらしさ」を体現

個に焦点を合わせたオウンドメディアの狙い

── 昨年、オウンドメディア「Me and Honda,Career」を立ち上げられたのは大野さま起案でしょうか。

大野:私個人というよりも、相澤を含め、部署全体として課題に感じていたので一気に進めた感じですかね。

── 1年間でかなり進めていらっしゃる印象ですが狙いは何でしょうか。

大野:カナダでも再認識した、個に焦点を合わせること、Hondaで働くことについていかに届けるかということにつながります。

相澤さん(以下、敬称略):やはりまずはHondaで働くことの魅力ややりがいを一人ひとりのストーリーとして伝えて、Hondaで働くことに興味を持っていただくことです。大きな会社なので、社内の者でも把握しきれない多くの部署や業務があり、知られていないことも多いんです。ただ、一つひとつが代えの利かない重要な役割です。普段は表に出ていない仕事について、働く人のストーリーを通して伝えることでこれまで興味を持ってもらえていなかった人にも届けられると思っています。

また、Hondaで働くことに興味を持っていただくことと同じくらい大切にしているのは、一緒に働いている仲間の仕事や仲間の仕事に対する想いを知ってもらうことなんです。取り上げられた社員があらためて自身の仕事に誇りを感じたり、その周囲の人たちも仕事の価値を再認識したり、ご家族が喜んでくれたり。その点でも重要な役割だと思っています。

大野:取材のときは緊張していても、終えられると皆さん良い表情をされていますし、コンテンツが掲載されると周囲でも話題になっていますよね。

事業のことを伝えることも仕事のことを伝えることも、人について届けることとセットなんです。

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今だからこそ大切な新領域へのチャレンジと既存事業

── 最近ですと、事業のみでなく創った人の想いが伝わるHonda発 第1号スタートアップのプレスリリースも印象的でしたよね。

相澤:そうですね。事業と人の想いがセットになったすごく想いの詰まったものでした。

大野:新領域へのチャレンジである「Honda eVTOL」の発表もまさに。想いが詰まってますね。

相澤:三部も言っていますが、二輪・四輪という安定した事業は財産であり、一方で新しい領域は、歴史ある事業に頼ることなくゼロベースで考えていて。それが「今が第二の創業期」の発言の理由なんです。

ただ、私たちは既存事業も大切にしています。なので、今だからこそオウンドメディアではスポットライトがあたりやすい新事業だけでなく、既存事業、それに関わるさまざまな部署を取り上げていきます。最終的には全社員取り上げたいと思っているんです。

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取り上げたいのは全社員、部署や役職にこだわらず幅広く取材

── 最終的に取り上げたいのは全社員とのことですが、もう少し詳しくお伺いできますでしょうか。

相澤:Hondaでは新領域へのチャレンジと既存事業、両方大切です。それはそこで働く人たちも同様。そして、既存事業を支える部署や人は知られていないことがたくさんあります。今だからこそ、既存事業を支えるたくさんの部署やそこで働く人たちのことを伝えていきたいんです。

最近では、部品事業部の社員について取り上げました。Honda製品を永く愛用いただくために、販売中止となったHonda旧型車の補修部品を再生産してお客さまに届ける仕事に日々取り組んでいるのですが、本当に知っていただきたい部署、仕事の1つですね。

オウンドメディアTOP画像
「Hondaの人=原動力を伝える」をコンセプトにしたオウンドメディア「Me and Honda,Career

<編集部コメント>

この内容を知ってほしい、届けたいという想いが溢れていた相澤さん。部品事業部の社員を取り上げたコンテンツについて熱く語る姿が印象的でした。取材時は公開前でしたが、拝読しすごく想いが伝わりました。

永く愛用していただくためにもとても重要なお仕事であることと、どうしても新しい商品のPRが多くなるなかでの部品のPRはとても興味深かったです。

新しい商品が目を引く、また、大きな会社だからこそ見えづらい業務内容を知ることができました。

潜在層にとっては興味を持ってもらうための多層的なアプローチ、興味を持った顕在層にとっても新たな気づきになるコンテンツでした。

現在の成果と課題、これからの採用ブランディング

HR Tech人材からの直接提案、少しずつ進む改革

── これまで採用ブランディングを強化されてきたなかで成果は出ていますでしょうか。

大野:面接に来られる方のなかに「記事を読みました」と言ってくださる方は増えてきましたが、正直まだまだ、これからですね。

個人的にSNSを始めたのも、少しずつでもHondaの取り組みや働く人のことを知ってもらうため。「Me and Honda,Career」を広めることに少しでも役立てばという思いもありました。そこから一つ良い出会いがあって。HR Tech人材からご自身ができることのご提案があり、「Hondaで自身の経験や知見を活かせませんか?」と。今、週2~3日で私たちのテーマを推進してくれてるんですよ。

一人で始めたSNSと社長三部氏の発信で後押し

── 大野さんのSNSの存在は大きそうですよね。

大野:採用オウンドメディアを盛り上げるためにも、人事部門として感じていること、例えば、

人々がどのようなことに価値を感じ、どのような働き方をすべきか、能力開発はどうあるべきか等、そうしたことも発信したいと考えました。

オウンドメディアとSNSの発信を通して私たちの取り組みを知っていただくことで、良い出会いや機会はありますし、少しずつですが進んでいます

大きいのは三部からの発信ですね。三部の就任以降、Hondaの魅力を発信していこう!という温度感は高まっており、それは採用面でも例に漏れずで。

「“Hondaらしさ”というのは製品そのものではなく、それを生み出せる人=新しい価値を生み出せる人がHondaらしさの源」にもある通り、Hondaは常に「人」を中心に考える企業であることを三部は語っています。

トップ自らこの重要性を語っているのは大きいですね。

人事部長大野氏が考えるHondaの採用ブランディング

── 最後に、大野さんはHondaの採用ブランディング、どうしていきたいですか。

大野:ここから、もっと発信していきますよ。採用ブランディングを強化し、オウンドメディアを立ち上げたときと実現したいことは変わっていないので。

大野さんが考える「中途採用の課題感と今後」

今後、個々のやりたいこと・実現したいことに加え、バックグラウンドやスキルが多種多様になるなか、採用活動のあり方を変えるべきと考えており、徐々にではあるが、変革に取り組んでいる。

これまでの採用活動は人事が主体となって、各部門の力を“借りながら”推進していたが、今は Team Honda として中途採用に全社一丸となり部門を巻き込んだ採用手法を手掛けている。インターンシップを通じた採用を大幅に拡大しているが、部門のアイデア・協力なくしては成立し得ない。

そしてHonda といば、F1。

採用もF1と同じ。ドライバーひとりの力では勝てない。監督、エンジニア、チームスタッフがチーム一丸となりはじめて勝つことができる

F1で優勝することも、チーム一人ひとりが各々の仕事の醍醐味を全身で表現し、プロ意識を体現しているからこそ、見ている人たちに感動を与えている。

我々も「Honda で働く全部門の人も採用活動を通じて、それを観てくれる方=潜在的な方含む求職者」に Honda で働くことの感動を届けたい。そういった意識を持って臨んでいる。

本田技研工業

<編集部コメント>

採用ブランディングを強化するのは、単に採用することが目的ではないこと、また現在の取り組みを大切にしていることがオウンドメディアの運営や今後の採用ブランディングについての考え、一つひとつからうかがい知ることができました。

Honda採用ブランディングのポイント

  • 取り巻く環境の変化に応じた取り組み
  • 本当のHondaを知ってもらうためには、すべての人、部署、仕事についての発信
  • Team Honda採用は、部門のアイデア・協力無くしては成立し得ない

(撮影:近澤幸司)

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この記事のライター

丸花 由加里

丸花 由加里

PR TIMES MAGAZINE編集長。2021年、PR TIMESに入社し、「PR TIMES MAGAZINE」、ご利用企業向けのコミュニティイベント「PR TIMESカレッジ」の企画・運営を行う。2009年に新卒入社した大手インターネットサービス運営会社では法人営業、営業マネージャーとして9年半、その後オウンドメディアの立ち上げに参画。Webコンテンツの企画や調査設計に携わる。メディアリレーションズを主とした広報を経て、現職。

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