男子プロバスケットボールリーグ、B.LEAGUE(Bリーグ)の2024-25シーズンで、リーグ最多となる3度目の優勝を果たした宇都宮ブレックス。その勢いは国内にとどまらず、今年6月にドバイで開催された「バスケットボール チャンピオンズリーグ アジア2025」では、B.LEAGUEクラブ初のチャンピオンに輝くなど、日本バスケットボール界を牽引するトップクラブのひとつとして、存在感を放っています。
本記事では、同チームの広報PRを担う株式会社栃木ブレックスの坂井駿さんにインタビュー。広報PR体制強化の背景や、チーム発足以来大切にしている地域とのつながりを深める活動、そしてファンとともに築き上げてきたカルチャー「BREX NATION」についてお話を伺いました。チームの快進撃の裏にある「伝える力」とその原動力に迫ります。
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プロバスケットボールチーム「宇都宮ブレックス」運営株式会社栃木ブレックス 企画制作・プロモーショングループ 広報担当
東京都江戸川区出身。大学卒業後、スポーツの専門学校を経て、スポーツに特化したPR会社に入社。スポーツ団体やスポーツ協会のWEB、SNSの企画から運用を長らく経験。「プロスポーツチームで働きたい」という想いを叶えるため、2024年4月に株式会社栃木ブレックスに入社。
広報でも「勝てる体制」へ
──あらためて、シーズン優勝、チャンピオンズリーグ(アジア)優勝おめでとうございます。今シーズンは、皆さんにとっても印象に残る一年だったのではないかと思います。この一年を振り返りながら、広報PRについて伺わせてください。早速ですが、まず「宇都宮ブレックス」の広報PR体制について教えていただけますでしょうか。
もともとブレックスの広報PRは2人体制でしたが、SNSなどの発信をさらに強化しようと体制を見直すタイミングで、2024年4月に私が入社しました。
ブレックスが掲げているビジョンのひとつに、「日本バスケットボール界をリードするチーム」があります。競技面だけでなく、広報PRの取り組みにおいても、その姿勢でありたい、とコートの内外を問わず「No.1を目指す」という気持ちで日々活動しています。
また、「強く愛されるモチベーションあふれるチーム」というブレックスの理念も、私たちにとって大切な指針です。プロチームは、多くの方々の支えによって成り立っています。だからこそ、地域やファンの皆さんに愛される存在でありたいという考えのもと、地域貢献活動に力を入れたり、ファンの皆さまに楽しんでいただける企画やイベントを考えたり。「どうすればファンの方々に喜んでいただけるか」という視点を常に意識しながら取り組んでいます。
──SNSでの選手の見せ方や発信スタイルについて、ほかのチームと差別化しているポイントはありますか。
特定の選手に偏ることのないよう、すべての選手にスポットライトが当たるような投稿を心がけています。また、伝えたいことを、できるだけシンプルにわかりやすく届けるため、ルールを決め、発信に一貫性を持たせるようにしています。
──日々、選手が努力する姿、真摯に取り組む姿を見てきたと思います。広報として特に反響が大きかった投稿や、印象に残っているエピソードはありますか。
2024-25シーズンの横浜ビー・コルセアーズ戦に敗れた翌日、試合前のロッカールームの様子をXに投稿したことがありました。渡邉選手が「チーム全体で雰囲気を盛り上げていこう」とメンバーを奮起させる場面で、その熱い言葉でチームの空気が一変し、そこからチームの勢いが増したように感じたんです。私自身、とても印象に残っている瞬間ですし、Xでも大きな反響がありました。
一番気になってるのは雰囲気。ミスは絶対にするし、長いシーズンの中では勝つときもあれば、負けるときもある。少し落ち込んでいる人がいたら、みんなでケツを叩いて盛り上げていこう。それは選手じゃなくても誰でもできること。試合に出ている人、出ていない人全員に責任がある。若い子もベテランも、みんなで雰囲気をつくっていくことが一番大事。下を向かずに全員で盛り上げて上だけを見ていこう。

熱狂の土壌を育む地域貢献活動
──地域に密着した活動にも力を入れているとお話がありましたが、具体的にはどのような取り組みをされているのでしょうか。
チームが発足した2007年から続けている取り組みのひとつに、キッズ向けの「栃木銀行 presents ブレックス・クリニックキャラバン」があります。ブレックスの選手やスクールコーチが宇都宮をはじめ、栃木県内の各地域を訪問し、バスケットボールの普及活動を行っているものです。今年7月27日に実施した「栃木銀行 presents ブレックス・クリニックキャラバン」で、地域貢献活動の累計が6,000回となりました。そのほかにも、地域のお祭りやイベントへの出演、講演会の実施、ブレックスのチアリーダー「BREXY(ブレクシー)」によるダンス教室や、チームマスコットの「ブレッキー」によるシュート体験なども、継続的に行っている活動のひとつです。
参考:【宇都宮ブレックス】地域貢献活動 6,000回実施達成
──お子さんだけでなく、シニア世代に向けた取り組みもされていると拝見しました。
はい。シニア層向けには、宇都宮市とともに「いきいき健康バスケットボール教室」を実施しています。ブレックスの選手やチアリーダーと一緒に、ストレッチやバスケットボールを使った簡単な運動などを行う教室です。Webでの申し込みが難しい方もいらっしゃるため、電話やFAXでも応募できるように工夫していて、毎回約30名の方が参加してくださいます。リピーターの方や友だちを誘って一緒に来てくださる方も多く、この教室がブレックスファンになったきっかけの方もいらっしゃいます。
参考:【活動レポート】第3回いきいき健康バスケットボール教室を実施
──地域貢献活動には、選手の皆さんも参加されているのですね。
そうなんです。可能な範囲で選手にも参加をしてもらっています。地域の方々との良い交流の機会になっていると思います。
先日行われた「いきいき健康バスケットボール教室」には、石川裕大選手と星川開聖選手が参加したのですが、シニア世代の皆さんにとっては、自分の孫のような年齢の選手たち。会場はまるでひとつの家族のような、とても温かい雰囲気になりました。そのような瞬間に立ち会えるのは、広報としても大きなやりがいですし、地域の皆さんに支えられているチームであることをあらためて実感しています。地域貢献活動で生まれる交流を通して、私自身がこのチームのことをますます好きになっています。
──長年地域に根ざした活動を続けてこられた中で、ファンや地域の方々の反応に変化は感じていますか。
かつては田臥選手や渡邉選手が駅前でチラシを配りながら試合の案内をしていた時期もありましたが、今ではありがたいことにホームゲームは常に満員の状態です。バスケットボールに対する熱が、確実に高まっていることを実感しています。
試合ではないですが、今年5月に行った優勝パレードには、沿道に約5万人の方が集まってくださり、選手自身もファンの方々の熱量を間近で感じたと思います。

強さの秘訣は「BREX NATION」
──地域貢献活動以外にも、ファンとのコミュニケーションもとても大切にされているそうですね。
はい。ブレックスには、ホームゲームを支えてくれている『BREX FRIENDS』というボランティア組織があります。今年5月に行われたチャンピオンシップ初戦では、来場者へのプレゼント用Tシャツを日環アリーナ栃木の会場の各席に一枚一枚設置したんです。
これは、ファンの皆さんに楽しんでいただくだけでなく、会場全体の一体感をつくり出すためにも行っていますが、ボランティアの皆さんが朝早くから駆けつけて、スタッフと一緒になって対応してくれたのはとても印象的でした。
──ボランティアの方がいらっしゃるんですね。画面越しやSNS投稿からも、ファンの皆さんのチーム愛を感じますが、応援や試合中の、あまり知られていないエピソードなどありますか。
そうですね。2024-25シーズンのファイナル第2戦で惜しくも敗れたあと、応援の仕方について、コールを出すファンの方と、チーム演出担当との間で、「選手たちに向けて全力で応援したい」「こうしたほうが応援しやすい」というやり取りがありました。
実は、ファイナル直前に3ポイントを決めたあとの「ディーフェンス!ディーフェンス!」というコールのテンポを少し変えたところ、「ノリにくい」「応援しにくい」といった声がSNSで見られたんです。そこで、次は相手チームの応援に負けないように、選手のパワーになるように話し合って元の形に戻しました。こういうやり取りが自然に生まれるのは、チームの歴史があるからこそだと思いますし、ファンとチームの距離が近い証拠だと感じています。
──ファンの存在は、ブレックスにとってどういうものなのでしょうか。
どんなときもブレックスのために「ともに戦ってくれる」存在です。「チームとしてのブレックス」を応援してくださっている方たちがたくさんいて、今回Bリーグで3度目の優勝を果たしましたが、1度目の優勝からずっと試合に来てくださっている方も多いんですよ。
選手たちが「ファンの方たちは6人目の選手のような存在」と話すことがありますが、本当にその通りだと思います。南は沖縄、北は北海道、さらにはドバイまで応援に来てくださった方もいて、アウェイ会場でも約半分がブレックスカラーに染まっているんじゃないかと感じることもあります。
──ファンやボランティアなど、ブレックスに関わるすべての人がチームを支えているのですね。
まさに、私たちが「BREX NATION」と呼んでいる考え方そのものです。「BREX NATION」という言葉には、「チームを取り巻くファン、スポンサー、自治体、メディア等、すべての力を合わせて結束し、ブレックスに関わるすべての人々で一丸となって激しい戦いを勝ち抜き、優勝を掴み取る」という思いが込められています。
ブレックスに関わるすべての人が主役であり、それぞれが「チームの一部」であるという考えだからこそ、チームとしての強さにつながっているのではないでしょうか。ファンとのコミュニケーションは広報PRチームだけでなく、いろいろな部署がそれぞれの形で担っていて、結果的に、チーム全体としての共創的な文化や強さに結びついているのだと思います。
──広報PRチームとして、これから取り組みたいことなどはありますか。
2026年からは「B.LEAGUE PREMIER(Bリーグプレミア)」が新たにスタートするため、これまでの「B.LEAGUE(Bリーグ)」という形は今シーズンで最後になります。その中で、2024-25シーズンの優勝、BCLアジア初優勝を達成した熱をBリーグ最後のシーズンに向けてさらに加速させていく、というのがチームとしての目標です。
そして、チーム名の「BREX(ブレックス)」は、「BREAK THROUGH(打ち破る・現状を打破する)」が由来になっています。これは、選手だけでなくわれわれスタッフ一人ひとりが常にブレイクスルーしていく、という意味も込められているんです。現状を維持するのではなく、どうすればよりよくなるのか、現状を超えていけるのかを常に考えていく。広報PRチームとしてもその姿勢を大切に、B.LEAGUE最後のシーズンに向けて貢献していきたいと思います。

まとめ:強さの秘訣は一体感。伝える力が育むファンとの共創文化
B.LEAGUEのクラブチームとして初めてアジア王者の座に輝き、国内ではリーグ最多となる3度目の優勝を果たすなど、快進撃を続ける宇都宮ブレックス。その華々しい実績の裏側には、地域との一貫した関係構築、そして「BREX NATION」と呼ばれる一体感のあるカルチャーが息づいています。
「広報でも勝てる体制を目指したい」と話す広報チームの坂井さん。選手の力だけに頼らず、発信の力でもファンを引きつけ、動かし、チームを支えていく。その積み重ねが、宇都宮ブレックスの圧倒的な熱量と成果を生み出しているのかもしれません。
強いからこそ広報を強化する。勝っているからこそ、伝える力を磨き続ける。宇都宮ブレックスの広報PRに対する姿勢は、B.LEAGUEに限らずさまざまなクラブチームにとって参考にしていただけるのではないでしょうか。
「B.LEAGUE(Bリーグ)」最後の年、2025-26シーズン、そして「B.LEAGUE PREMIER(Bリーグプレミア)」の開催が楽しみです。
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